知らないうちに、、、
今、私達の「食べる」シーンに《遺伝子組み換え食品》が急速に入り込んできています。《遺伝子組み換え食品》とは、生物から目的の遺伝子を取り出し、それを他の生物の細胞に組み込むというバイオ技術を使って開発された作物や食品のことです。主にアメリカなどで開発されていて、その多くが日本に輸出されており、現在では日本で売られる大豆製品の15%以上がこの食品だと言われています。
ひかるナス、虫を殺すじゃがいも
この技術により、遺伝子という生物の設計図を操作して、自然界では起こり得ない『種の壁』を乗り越えることが可能になったのです。例えば、ナスにホタルの遺伝子を組み込んだ『ひかるナス』、現在実際に栽培されているものでは、微生物の遺伝子を導入することによって除草剤をかけても枯れなくさせたダイズや、毒虫に対抗するための殺虫毒素を生成するジャガイモ・トウモロコシなどがあります。
偉大な自然の仕組み
この《遺伝子組み換え食品》が今問題となっています。安全性・環境への影響・経済的な背景などその理由はさまざまですが、そもそも人間が一時の自己利益のために、地球誕生以来46億年もの間生き生きとして培われてきた自然の法則を犯し、この領域に足を踏み入れることが許されるのでしょうか?
----------------------------------------------------------------
21世紀に向けて開発された新しい食品《遺伝子組み換え食品》。今までの食品を越えた画期的なもののようですが、それが作られ、食べられることで、環境や人体にどのような影響があるのでしょうか?
健康への懸念
《遺伝子組み換え食品》の安全性が心配されています。長期間摂取しつづけることによる慢性毒性やアレルギーの発生、また遺伝子を操作することで全く未知の毒性物質やアレルギー物質が生じる危険性など、健康への影響が懸念されています。特に、「次世代への影響」が心配されており、今の世代の無責任な選択が私たちの子孫に思わぬ惨事を招くことにもなりかねないのです。
『実質的同等』と言うけれど、、、
では、なぜそのような危険性を抱えた《遺伝子組み換え食品》が今日本に入ってきているのでしょう。それは『実質的同等』という概念に基づいた安全評価指針によるものということができます。『実質的同等』とは、色・形・栄養素など表面的な部分で今までの食品と同質であればその食品は「安全」である、という考え方です。しかし自然界では決して生まれ得ない作物をそれだけの手続きで「安全」と済ませてしまってよいのでしょうか。
環境への影響
《遺伝子組み換え食品》の危険性は、人間だけにとどまりません。例えば、遺伝子組み換え作物が栽培され自然界と接触をもつことによって、導入された遺伝子が野生生物に移行する遺伝子汚染や、組み換え作物が標的以外の生物に悪影響を及ぼす危険性などいろいろと心配されています。実際に、除草剤に耐性をもった雑草が確認されたり、殺虫性作物が益虫を殺してしまい害虫が大量発生した例などが起きています。遺伝子組み換え作物の広まりによって、絶妙なバランスの上にある生態系がみだされ、生物の多様性が脅かされつつあるのです。
私達の直感
私達は今までに、科学的に「安全」とされてきたものが後に「危険」とわかった経験を数多くしてきています。また食品添加物のように〈直感〉的に「危険だ!」と思ったことがその通りであったことも少なくないはずです。《遺伝子組み換え食品》の賛否は、私たち一人一人が主体的に判断していきたいものです。
------------------------------------------------------------------
どうやら、《遺伝子組み換え食品》は、まだわからない所も多く、危険な一面をはらんでいるようです。しかし、どうしてこのような食品が開発されるようになったのでしょうか。開発する側の意見として、現在の食糧危機を解決しなければいけないという理由がありますが、実際にこの技術は食糧危機を解決するような道を歩んでいるのでしょうか?
『食糧危機を解決する』とは言うけれど、、、
世界的に自由化を促進する国際機関の意見-----「食糧危機、資源枯渇といったこの世界の現状の中で、いかにこの資源を有効に活用していくかという課題が求められています。それには、グローバルな視野に立って、世界全体で資源を有効利用していくことが必要となります。そこで、多国籍企業が自由な経済活動を行い、人やもの・お金などが活発に取り引きされる自由貿易体制が必要なのです。そしてそれを支えるために、WTO(世界貿易機関)などの国際的枠組みがあるのです、、、。」
「南」の発展途上国にいくつもの子会社を持つ多国籍企業の意見------「現在、この世界的な食糧危機の中で、その危機を乗り越えるためのバイオ技術の可能性が注目されています。このまま何億もの人を飢餓にさらすぐらいなら、もっと食料生産の能力を高めていった方がよいでしょう。そのためには、もっと私達企業の自由な競争に任せて、どんどん食料の貿易を促進していった方がいいのです、、、。」
しかし、多国籍企業はその技術を進めるために、「南」の発展途上国の資源から採れる遺伝子に特許をつけて独占し、その遺伝子を組み替えた農作物を大規模に栽培し輸出しています。しかも、彼らはこうした《遺伝子組み換え作物》を、食糧自給率の低い日本をターゲットに売り込もうとし、利益の増大を図っているのです。つまり、彼らの技術は結局「南」の食糧危機を解決するものになっていないわけです。遺伝子に特許をつけて彼らを保護するといった自由貿易体制に基づく世界貿易のルールは、実は多国籍企業にだけ非常に都合の良いものなのです。
誰のための自由なのか?それは「北」の先進国のためだけの自由に他なりません。それはまさに「北」の国々の論理である《グローバリゼーション》そのものなのです。またそのような流れの中で、危険な食品が入っていることすら知らされない私達。「南」の国々だけではなく、「北」の国にいる私達も被害にあっているのです。
日本からそれに反対することは出来ないの?
そうした食品を受け入れる日本政府の意見------「世界的な自由化の流れを見れば、日本だけがそのような農作物に規制をかけることはできません。もし《遺伝子組み換え食品》であることを表示してしまえば、誰もその食品を買わなくなってしまい、結局貿易障壁につながってしまいます。しかも、《遺伝子組み換え食品》自体にそれほど際だった危険性は発見されていません。ですから、日本政府は『実質的同等』という観点からこの食品の輸入を許可しているのです、、、。」
そうした食品を流通する日本企業の意見------「日本政府が《遺伝子組み換え食品》に対して「安全」だという評価をしている以上、日本企業はそれを受け入れて流通する権利があります。コスト的に見ても海外から大規模に輸入した方が効率的で、多くの利益を得ることができます。消費者もこのような流通の仕組みによって、食べ物を安く手に入れることができるのです、、、。」
だからといって、私達がそれを選ぶ権利を無視してもいいのでしょうか?表面的に同質であっても、前記のように、簡単な検査で安全性も確認されていないまま、その食品は輸入されてきています。よって、貿易障壁につながったり日本の自給率が低いから危険な食品もやむを得ず受け入れる、のではなく、私達にその食品が安全だと「見える」ような、つまり私達が安心して食品を「知り」「選ぶ」権利が保障されるような体制を政府が作り、また企業がそれに沿って努力することが必要なのです。
そのためには企業・政府ともに生産者と消費者との距離の近い地域自立型の農業を推進することが必要であり、また「南」の国がそうすることで飢餓が進行しないような、「南」の国にあった地域自立型の農業を開発していくことが必要なのです。
------------------------------------------------------------------
明らかになった、《遺伝子組み換え食品》とその裏にある世界規模のグローバリゼーションの問題。こうした世界規模の問題に対して、私達はなす術がないのでしょうか?いえ、私達からでもできることがこんなにあるのです!
1. 自分達が主役になって、自分達から率先して変わっていこう!
まず私達自身から、みずからを取りまく環境・情報に敏感になり、自分達の意思表示をしっかり提示していくことが大切になるでしょう。私達「生きる」一人一人がこの社会の主役であり、そうする権利を十分に持っているのです。
2.自分の食べるものは自分で選べるように働きかけていこう!
自分の食べるものをよく知り・自分で選ぶということは誰もがもつ当然の権利です。それを守るためにも、私達は企業や行政に対して《遺伝子組み換え食品》に関する表示の義務化と、正確で遅れのない情報公開を求めていくことができるはずです。
3.自分達が選ぶことで、この社会を変えていこう!
さらに、自分達が行動することで世の中を変えていくこともできます。自分達が望んでいるような取り組みをしている企業の製品を買うことで、その流れがもっと広がるように企業をサポートしていくことができます。例えば、《遺伝子組み換え食品》を使用していないことを自主的に表示している企業の商品を買って、あるいは食べることによって、その需要を高めることは、その流れを業界全体に広げ、より多くの企業が同じような取り組みをする後押しをすることになります。そしてそれが、結局、私達の知る権利・選ぶ権利を守ることになるのです。
そこで、A SEED JAPAN は、、、
≪遺伝子組み換え食品≫に関する情報発信を続け、若者を中心に彼らの関心・意識を調査し、彼らに身近な大学生協やコンビニエンスストアーに≪遺伝子組み換え食品≫を導入しないよう働きかけていきます!
例えば、私達の行ったアンケートでは、95%もの人が《遺伝子組み換え食品》に表示が必要だと答えています!
また、私達は、「《遺伝子組み換え食品》を扱いません」という不使用表示を行っている企業を積極的に紹介し応援していきます!
|