今年4月1日から法律で義務付けられ、遺伝子組み換え食品の表示(任意)が始まった。しかし、スーパーなどで見てみると、ほとんどの商品が「遺伝子組み換えでない」という表示か、表示自体がされていない。市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の調査でも、表示義務のある豆腐(調査数263)、味噌(370)、コーン菓子(93)すべてに「遺伝子組み換え」「遺伝子組み換え不分別」という表示はなかった。これでは表面上、日本には遺伝子組み換え作物が入っていないことになってしまう。日本が世界最大の遺伝子組み換え作物の輸入大国であるという現実と表示の実態の間には、乖離がありすぎる。
現在の制度では、表示対象の加工食品は豆腐や味噌などの24製品だけで、大半が表示対象外となっている。また、遺伝子組み換え作物を複数使用している製品は、使用量の上位3品目の表示だけでよく、それ以外は表示の対象外である。しかも、混入5%までは「使用していない」と認められている。「使用していない」、あるいは表示がされていない製品の中には5%未満の割合で混入している製品が含まれている可能性が高い。
表示義務のない食品にはさらに遺伝子組み換え作物の大半が流れているに違いないと、食品・環境問題に取り組む市民団体「ア・シード・ジャパン」が中心になって、表示義務のない食品の調査を行なった。
調査は、醤油がキッコーマン、ヤマサ、ヒゲタ、ヒガシマルの4社52製品、食用油が味の素、日清製油、昭和産業、吉原製油、ホーネン、リノール、花王の7社36製品、ビール・発泡酒はアサヒ、キリン、サッポロ、オリオンの4社31製品を取り上げ、すべての企業から回答を得ることができた(詳細は「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」 Tel03-5794-6861)。
回答結果を見ると、食用油はすべて「遺伝子組み換え不分別」表示だった。市販の食用油で遺伝子組み換えで無いものは皆無といえる(紅花油・ごま油を除く)。ビールや発泡酒は逆に、すべて「遺伝子組み換えでない」という表示がしてあり、原料に遺伝子組み換え製品を使っているものはなかった。
それに対して、醤油は割れた。「遺伝子組み換えでない」という製品が21、「遺伝子組み換え不分別」という製品は31だった。「有機」「丸大豆」という種類はすべて「遺伝子組み換えでない」だった。「特選」醤油の中では、ヒゲタ醤油の「超特選卓上」「特選こいくち」「特選淡口」とヤマサ醤油の「ヤマサ特選醤油」が「不分別」だった。遺伝子組み換え大豆を使用していながら、どこが「特選」なのか消費者にはわからない。ヒゲタ醤油お客様相談室によると「『超特選卓上』は飲食展販売が中心。『特選こいくち』には『不分別』以外の製品もある。遺伝子組み換え作物の使用については社内検討中で結論にはまだ達していない」という。
不分別表示は、0〜100%の範囲で遺伝子組み換え作物が混入していることを意味し、事実上「使用」と同じ意味である。業界団体やメーカーは「厚生労働省が安全性を確認したものを輸入しており、醤油の場合はタンパク質がアミノ酸に分解されるため問題ない」と述べている。しかし、完全に分解されるわけではなく、不純物として残留するため決して安全性が確認されているわけではない。醤油の選択のひとつの指標は「有機」と「丸大豆」といえる。 |