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◆投資問題FAQ
 

FAQ〜WTO投資協定って何?なぜ問題なの?〜

WTO投資協定は様々な問題があります。具体的にどんな問題があるのか?私たちがなぜWTO投資協定に反対するのか?をまとめてみました。

Q: 投資の自由化ってどんな影響があるの?

A: 途上国の労働、健康、環境の規制は、一般的に先進国よりも低いわけですが、そのために、途上国においてすさまじい人権侵害、環境破壊が繰り返されてきました。これは、国際間において、人権侵害をおこし、環境破壊的な企業の活動を規制するための法的枠組みがないことが要因です。多国間の投資ルールがない現在においてもこれだけの問題が起こっているのに、さらに投資の量を拡大し、グローバル企業の権利を強化すれば、ますます問題は深刻化することになります。また、そもそも投資の拡大は、途上国の自国の企業の発展を押さえ、途上国の貧困解決を保証するものではありません。現在、先進国が不況であることでODAの支出を削減し、代わりに民間投資の額が急激に増加しています。しかし、ODAと違い、民間投資は利益の一部が株主に配当されてしまうので、途上国内において利潤の再投資が十分に行われません。さらに、民間投資は途上国の中でも一定の所得のある国に集中するので、そもそも、貧困の深刻な地域には投資されず、貧困解決を保証するものではありません。

 

Q: WTO投資協定にはどんな国が反対しているの?

A: WTO投資協定には多くの途上国の政府も途上国のNGOも反対しています。(例:インド、マレーシア、ジンバブエ、ザンビア、ケニア、ベリーズ、ウガンダ、スリランカなど)これらの国は、「WTOの投資協定は自国の利益にならない」と発言しています。インドは「WTO投資協定は発展の選択を閉ざすものである。途上国の経済混乱を引き起こさないよう先進国の投資側において、厳しい規制が必要である」と延べています。

 

Q: WTOにはどんな問題があるの?

A: WTOの交渉はグリーンルーム方式と呼ばれ、先進国と一部の途上国の間で密室で決められてしまいます。その閉鎖性は他の国際機関よりも明確で、交渉をする前提が途上国にとってあまりにも不利な状況なのです。また、WTOのすべての協定は自由化の不可逆性(後戻りのできないこと)を持っています。つまり、一度、ある分野をオープンにしてしまえば、どんな経済的・社会的変化があってもその自由化を後戻りさせることはできません。さらに、WTOは、強力な紛争解決メカニズムにより、時に国内の法規制を上まわる強制力を持っています。つまり、国内において民主的な手続きで合意された法律が、たった三人の紛争解決パネルのパネリストによって判決を出されることになります。この判決は無視することはできますが、訴えた相手国に対抗貿易制裁を行う権利を与えるので、輸出品の少ない途上国ほど従わざるえない状況になります。またその判断基準となる法体系は、国連の協定や条約などを無視した著しくバランスを欠いたものです。

 

Q: WTOのオルタナティブ(代替案)とは?

A: 国連貿易開発会議(UNCTAD)は現在は研究機関となっていますが、かつては、途上国の発展を支える機関として、積極的に活動してきました。国連は安全保障理事会こそ拒否権によって非民主的な決定が行われていますが、貿易や経済、社会の問題を扱う経済社会理事会では、世銀やIMF、WTOなどの他の国際機関に比べ、民主的な決定を行っています。また、国連には国際的な法体系を無視した紛争解決機関はありません。国連が十分に機能できていないのは、先進国によって機能を制限されているからです。先進国にとっては出資額によって投票権の行使でき、先進国のアナリストが多くいる世銀やIMF、グリーンルームで決めることのできるWTOなどを拡大させたほうが自国の利益を拡大することが容易であるからです。貿易や投資のあり方を国際間で協議する場として、国連はひとつのオルタナティブになります。アフリカやアジアなどの途上国同士の地域連合やこれらの国際機関が多元的な枠組みを作ることによって、WTOの影響力を緩和することができます。必要なのはグローバル企業の権利章典ではありません。私たちが持続的に生きるためのスペースなのです。

 

 

(文責:田辺有輝)

 
 

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