(※1)WSSDに向けたスケジュール

各地域での地域会合

東アジア、東南アジアなどのサブ地域会合からスタートし、アジア太平洋地域会合(2001年11月27日〜29日)などの地域 準備会合へ集約される。

第2回準備委員会

2002年1月28日〜2月8日(NY)
・アジェンダ21実施の成果と教訓
・アジェンダ21実施の阻害要因
・実施すべき期限付きの措置、制度的・財政的必要事項及び支援策

第3回準備委員会

2002年3月25日〜4月5日(NY)
・第2回会合からの継続審議
・持続可能な開発のための制度的枠組の強化策。国連持続可能な開発委員会の役割・作業計画の評価と明確化
・アジェンダ21の実施のレビューと評価及び今後の行動についての結論と勧告を含む文書の合意
・世界サミットの仮議題及び主要テーマ

第4回準備委員会

2002年5月27日〜6月7日(インドネシア・バリ島)
・世界サミットで審議の上、採択される文書を討議
−パートナーシップの強調
−アジェンダ21に対する戦略的アプローチの必要性を再確認
−リオサミット以降に生じた新たな課題への取り組み
・第4回準備委員会では多主体間対話(マルチ・ステークホルダー・ダイアログ)に2日間が当てられることになった

WSSD

2000年9月2日〜11日(南ア・ヨハネスブルグ)で開催

リオプラステンとは?

 持続可能な開発のための世界サミット(通称:リオプラステン)は2002年の9月2日〜11日の10日間で開かれる。2001年には世界 全体による準備会合に向けて、国内レベル、地域レベル、大陸レベルでのレビューを繰り返すプロセスがとられる。主にアジェンダ21のレビューをする、という作業になる。これ らのプロセスを取り仕切るのがUNEDフォーラム。UNEDフォーラムはもともと92年のリオサミットの成果(アジェンダ21)の遂行をフォローするためのイギリスのフォーラムだった。 2000年4月のCSD8から、新たにUNEDフォーラムを立ち上げ、「マルチステイクホルダー(多面的利害関係者)」として、政府とNGOだけでなく企業や学者、地方自治体などが 集い、リオプラステンの準備を進めるフォーラムとして立ち上がった。アジェンダ21の遂行をフォローするCSD(持続可能開発協議会)や国連環境計画(UNEP)、国連開発計画 (UNDP)も参加している。毎月発行されるニュースレター「Network2002」のバックナンバーが
http://www.earthsummit2002.org/es/newsletter/default.htmからダウンロードできる

リオプラステンまでのステップ

 2001年4月にニューヨークで開かれた第10回国連持続可能開発委員会(CSD10)は、リオプラステン準備会合の第一回という位 置付けでもあり、そこではその後予定される3回の準備会合と本番であるリオプラステンの日程と議題の案(※1)が、ほぼ決定された。まずUNEDフォーラム事務局は、世 界各国に準備委員会を設立するよう、よびかけている。この各国の準備委員会は国内のレビューとアセスメント、そして地方を含む国内のマルチステイクホルダーたちの意識 を高める役割を担い、政府・地方自治体・専門家・メディア・大手団体・そして関連する国連機関支部が参加することが望ましいとしている。各国内の持続可能開発協議会 (NCSD)が存在する国においてはNCSDが準備委員会になることを期待されていて、日本ではJCSD(日本持続可能開発委員会)が該当する。そして92年のリオサミットへのプ ロセスがそうであったように、広く市民や社会の構成員に発言の機会を提供することが望まれている。
 さらにUNEDフォーラムでは「持続可能な開発のための101の方法」を提言することを呼びかけている。これはリオサミット以来、持続可能な開発の例として成果を上げている手法を国内で共有して,上位101種類 をリオプラステンに提案する、というプロジェクト。各国1名の最優秀賞が選ばれる。現在このプロジェクトを立ち上げているのはアメリカ、ガーナ、モーリシャス、モンゴリア、 ニジェール、チュニジアの6カ国。専攻基準は、基本的にアジェンダ21の概念にそっていて、具体的な成果を参加型の手法で生んでいる、というものでれば、政府の政策改革 からメディアのキャンペーンまで、なんでも対象になる。最終的には優秀な方法は出版され、世界的に共有され、国際協力などに活かされる。
 その他、各国の準備委員会の情報は、順次UNEDフォーラムのウェブサイトで公開されている。UNEDの顧問理事会には大企業の意見を代表してICC(国際商工会議所)やWBCSD(世界ビジネス持続可能開発評議会) など、絶大な政治力を誇る団体7つが入っている。一方NGO界からはWWFインターナショナル、世界自然保護基金など国連とのパートナーシップを持つ団体や、アラブやインドの ネットワーク団体など、19団体が入っている。その他に青年・女性・議員・科学者・個人など様々な層が参加している。

WSSDに向けたNGOの動き

 リオプラステンの準備に関わる機関として国連持続可能開発委員会(UNCSD)と、そのNGO諮問委員会であるアースカウンシル、 そして新たに立ち上がった国連環境開発フォーラム(UNEDフォーラム)があるが、世界ではリオプラステンに対して個別のNGOが様々なアプローチを計画している。
 2001年5月にはスウェーデン環境省と青年団体が主催してEUサミットの直前に国際青年環境会議を開催し、100カ国、250人の青年が参加し、リオプラステンに対する世界青年声明を提出した。A SEEDJAPANは現在二つの海外の団体と、リオプラステンに向けた情報共有を行っている。

UN-Coporatedキャンペーンとは何か?

 ASEEDJAPANと同じく、リオサミット後に「ASEED国際キャンペーン」から誕生したASEED Europeは、オランダに事務所をおき、欧州全域に活動的なメンバーを持つラディカル(先進的)な団体だ。遺伝子組み換え問題、交通問題、森林問題、石油問題 など、幅広い活動を展開している。
 2001年5月にエストニアで開催された国際ギャザリングでは以下の内容が合意され、リオプラステンに向けて新たなキャンペーンを展開している。

1:リオプラステンに対するASEEDEuropeの意見
・国連の意思決定方法は民主主義が非常に未熟であり、世界政治に対して影響力が弱い。
・国連条約は妥協の産物なのでとても不十分。しかも守られない。
・国連をもっともうまく利用しているのは多国籍企業である
したがって、リオプラステンは「すべての人々のため」ではなく、「企業や金持ちのため」の会議であり、そこで作られる合意は、貧しい人々にとってむしろ害のあるものとなってしまう。

2:リオプラステンで何をすべきか?
・国連会議の中ではなく、世界中の地域からの変化を呼びかける。
・多国籍企業が国連(リオプラステン)に都合のいい国際条約を作らせようとするプロセスを明らかにする。
・市民主導で作成した国連条約にその他の先進国が作った国際ルールより強い権限をもたせる。

 温暖化、貿易、生物特許といった問題は、現在既得権益を持つ多国籍企業により、圧倒的に支配されている。例えば温暖化に関 しては世界的な量的規制を定める議定書には石油産業が徹底して反対し、一方で原子力発電や植林により利益を得る企業が、さらに海外進出・事業拡大する事で環境が守 られる、というイメージを作ろうとしている。ASEEDEuropeは、リオプラステンのターゲットを「多国籍企業の政治力」に絞り、企業の規制に取り組む団体にキャンペーンへの参加・協力を呼びかけ、リオプラステン準 備会合に対して批判的なアクションを行ってゆく。2002年9月のリオプラステンでは国連(UN)と企業(Corporate)が手を結ばない(corporated)よう、欧州中の各地域で、ア クションを起こす計画だ。

ANPEDキャンペーンとは何か?

 ASEEDEuropeと同じくオランダにあるNGOであるANPEDは、リオサミット後に発足し、主に先進国の中にネットワークを築き、「先進国の大量生産・大量廃棄からの脱却」 に焦点を絞ってリオプラステンに向けたキャンペーンを展開し、草の根の団体を支援し、社会の持続可能性を高めるための情報・スキル提供、キャンペーン、出版、国際会議で のロビーイングを行っている。ANPEDはリオプラステン準備委員会であるUNEDフォーラムの登録団体であり、国連プロセスの中で、積極的に登録されていないNGOとの橋渡し を行い、リオプラステンに注目するNGOを世界に増やそうとしている。また、リオプラステンに向けて包括的な「10の挑戦」を提案し、世界中の団体に賛同を募っている。

ANPEDが掲げるリオプラステンに対する10の挑戦
 リオプラステン(WSSD:WorldSummitonSustainableDevelopment)は92年のリオサミット以来取り組まれてきた「持続可能開 発」(SustainableDevelopment)に関するすべての要素が政治的に重要な課題として取り上げられる。ANPEDはリオプラステンのアジェンダに以下の10項目を入れるよう、国 連・G8に働きかけている。それらは世界的な持続可能開発実現の障害となっているからである。

1:リオプラステン(国連)およびそれに参加する政府はすべからく「実施の危機(CrisisofImplementation)」に向き合うべきである。これまで各国政府は持続可能開発に関する 国際的・地域的な合意に署名してきたが、それらは全くといっていいほど実行されていない。各国政府は行動できなかった失敗の原因について取り組まなければならない。さ もなければ潜在的なパートナーであるNGOや他の社会セクターからの信用を失うだろう。

2:特に生物多様性条約(カタルヘナ議定書)、気候変動枠組み条約(京都議定書)が守られていないことに取り組み、リオプラス テンまでに政府は批准すべきである。リオプラステンを京都議定書に関してIPCCの提案に基づく行動をはじめるための新たな合意を生む機会にすべきである。

3:アジェンダ21は、環境破壊の主たる原因が非持続的な生産・消費パターンにあることを指摘しているが、この分野に関しても 何ら進展がみられない。リオプラステンは他のすべての問題に関わる生産・消費パターンを変える機会となるべきである。

4:国連は常に人権の擁護者であった。我々は安全で健全な環境を求めることは基本的人権の1つとして認められるべきだと主張す る。それが国連のすべての活動の原則としてリオプラステンで認められるべきである。

5:安全な水へのアクセスがすべての人に与えられることは、環境を守るための重要な課題である。これは多くの会議で議論され てきたが、リオプラステンでは目標達成のための詳しい行動計画がまとめられるべきである。

6:リオサミット以降、様々な新しい問題が現れてきた。リオプラステンでは特に遺伝子組み替え技術についてカタルヘナ議定書を国 際合意と認め、リオプラステンにおいて採択、進展させるべきである。

7:世界貿易のグローバル化は持続可能性の問題の課題の一つとなった。国連が貿易における環境・社会的影響について、持続可 能性に関わる国連機関の権限を評価し、強化をする必要がある。

8:グローバリゼーションは多国籍企業の市民に対する影響を大きくしてきた。リオプラステンは国連機関、および政府間機関(OECD など)における企業の規制の枠組みについて、評価を行うべきである。リオプラステンは企業の説明責任について、より進んだ環境・社会に対する説明責任を持つ制度づく りのプロセスを開始する機会になるべきである。

9:世界的な持続可能性を脅かすもっとも大きな脅威は貧困である。リオプラステンは持続可能開発と貧困根絶の2つの目的を同時 に達成できるプログラムを発展させる合意を作るべきであり、それには債務救済が含まれるべきである。

10:これらすべてのプロセスに、NGOをはじめとするほかの社会セクターの参加を促すべきである。市民が意思決定に参加する権 利を持ち、情報公開と公正がすべての国に保障されなければならない。地域レベル、国レベル、国際レベルでNGOが取り組む活動を認め、各国政府のレビュープロセスにNGOを 参加させるべきである。

 

(文責:鈴木亮)

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A SEEDJAPAN/リオマイナステンキャンペーン
asj@jca.apc.org