韓国の反グローバリゼーションの動き
韓国の反グローバル化アクションKOPA
韓国には反グローバリゼーションを訴える市民団体がたくさんある1999年9月、それら40以上の団体が集まってKOPA(投資条約とWTOに反対する、韓国人アクション)という連盟組織を結成した。参加団体は環境系のみならず、農業者同盟、人権団体、政治監視団体、女性解放団体、健康救済団体、学生など様々だ。KOPAの活動目的はWTOがもたらす負の側面を人々の前に明らかにすること、また進行中の韓米、韓日間の投資条約をストップさせる事だ。そして多国籍企業の金融資本をウォッチしたり、貧国の債権帳消しと貧国への援助金が下層級の人達へ正しく分配される事、経済的発展闘争における国際的連結の重要性などを訴えている。
通貨危機の影響からくる危機感
なぜこのような動きが韓国では活発なのだろうか。それは1997年、東南アジア諸国で波及した通貨危機に、韓国も大きな打撃を受けた事が関係しているだろう。これぞまさにグローバリゼーションの代償の結果である。この時韓国はIMFの援助を受けたが、IMFの手法は南米やアフリカ諸国に対して行ってきたやり方と同じだった。例えば南米では、世界の投資家が投資した先は、国の事業に対してがほとんどだった。しかしその事業の管理体制がしっかりしていなかった事や、輸出先の西欧がその頃不況だったために輸出が伸びなかった事などが通貨危機に陥らせる原因となったのである。
貧しいものはますます貧しく
韓国の場合は工場や企業当てに投資がされていた。しかし、生産過剰が続いていたところにタイの通貨危機が起き、投資家がアジアから一斉に融資を引き上げてしまった事によって韓国にも通貨危機が起こったのである。南米の経済危機とは全く経緯が違うのだが、IMFが一律に押し付ける「切り詰め制裁」は韓国人のプライドを傷つけ、その不況のしわ寄せは弱者へと来た。多国籍企業は国内の株式市場の30%以上の経営権をかっさらってしまい、市民のためにサービスを提供してきた公的業者は、税金泥棒として国内外に売り渡されてしまった。富める者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなり、所得格差は過去最高となった。その弊害は今も続いている。
韓国映画を守れ!
よってグローバリゼーションの被害経験者ゆえ、WTOが実行力を持つものとなると、その弊害が益々厳しくなるという危機感に敏感なのである。例えば韓国の映画産業界は、アメリカ映画が韓国映画を駆逐してしまうのではないかという危機感を人一倍抱いている。芸術文化の多様性は保護されるべきだろう。また農業従事者や労働者、一般人も安い海外商品の輸入自由化が進めば、自分たちの生活が脅かされるため、WTOに危機感を持っている。KOPAに参加している人々はIMFや各国政府が提唱する「新自由主義」的政策は、経済危機を克服するための真の解決ではなく、各国の利益の押し付けだったり、人権を奪うものだったり、新たな形の帝国主義だと考えている。
ソウルでアクションを実施
99年には反WTOとして組織を総動員し、シアトル、ニューヨーク、ソウルでアクションを行ったし、2000年10月にはソウルでアジア・ヨーロッパ会議(ASEM)があったため、グローバリゼーション反対アクションやイベントを綿密で長い準備期間の元行った。その活動はとても精力的で規模も大きく、市民活動は韓国人に身近なものとして根ざし、広まっているようだ。グローバリゼーションを食い止めるのは個人の力にかかっているという使命感、現実感を多くの韓国人は持っているのではないだろうか。
(翻訳:堤本陽子)
詳細は以下まで
http://antiwto.jinbo.net/eroom/index.html