持続不可能なライフスタイルが
世界中に拡がっている
「地球環境はむしろ悪化している。その原因は経済のグローバル化にある。ほとんどすべての国が一つの地球的な市場に巻き込まれているんだ」
オリビエはリオからの十年をこのように評価する。そしてこの一番顕著な例として、貿易の自由化をあげる。
「先進国の多国籍企業が、これまで輸入規制や投資規制などで、進出できなかった国に入れるようになったんだ。そして途上国の人々は多国籍企業が入ってくるまで行われていたその土地独自の環境負荷の少ない生活習慣をやめ、北のライフスタイルに変えていったんだよ」
オリビエは貿易の自由化を最も積極的に進めているのは多国籍企業、との認識からその動きを追っている。
「地球サミットの一年後に今日のWTOの原型となったGATT・ウルグアイラウンドが行われたんだ。この中で多国籍企業にとって有利なルールづくりが進められてきた。また産業界ではロビー活動をする組織をつくりあげている。持続可能な開発に関するビジネス評議会、国際商業委員会という組織を設立された。彼らはリオ+10に向けて企業に有利となるような流れに持っていくことを目指しているんだ」
ロビー活動とは国連や政府の交渉担当者に直接、政策提言をしたり、陳情したりすること。彼はリオ10を冒頭のメッセージに加えてこうも認識している。
「現実的に考えてリオ+10において大きな決定が下されることは期待していないよ。これからの新しい流れをつくっていく一つのステップと考えている」