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Johannesburg Summit 2002  

オリビエの視点と戦略(オランダ・CEO)

リオ+10では決まらない!?

   「リオ+10において大きな決定が下されることは期待していないよ」オランダのCEOやアシード・ヨーロッパで活躍するオリビエはリオ+10についてこう話した。

   一九九二年にブラジル・リオデジャネイロで、地球サミットが開かれた。十年の行動計画であるアジェンダ21や、温室効果ガスの削減を定めた気候変動枠組み条約、種の保存を定めた生物多様性条約などが生まれた。二〇〇二年に南アフリカで行われるリオ+10では、過去十年間の環境政策を振り返り、一九九二年年の地球サミットで決めた条約や行動計画がどれだけ達成できたのか、という十年間の評価をする予定だ。

   オリビエはこの十年間をどのように評価し、いまの社会をどのように視点で見ているのだろうか? どのような戦略で運動を展開しようとしているのだろうか? これらの事を聞くことによってASJにおける活動のヒントになればと思う。

 

 

持続不可能なライフスタイルが
世界中に拡がっている

   「地球環境はむしろ悪化している。その原因は経済のグローバル化にある。ほとんどすべての国が一つの地球的な市場に巻き込まれているんだ」

   オリビエはリオからの十年をこのように評価する。そしてこの一番顕著な例として、貿易の自由化をあげる。
    「先進国の多国籍企業が、これまで輸入規制や投資規制などで、進出できなかった国に入れるようになったんだ。そして途上国の人々は多国籍企業が入ってくるまで行われていたその土地独自の環境負荷の少ない生活習慣をやめ、北のライフスタイルに変えていったんだよ」

   オリビエは貿易の自由化を最も積極的に進めているのは多国籍企業、との認識からその動きを追っている。
    「地球サミットの一年後に今日のWTOの原型となったGATT・ウルグアイラウンドが行われたんだ。この中で多国籍企業にとって有利なルールづくりが進められてきた。また産業界ではロビー活動をする組織をつくりあげている。持続可能な開発に関するビジネス評議会、国際商業委員会という組織を設立された。彼らはリオ+10に向けて企業に有利となるような流れに持っていくことを目指しているんだ」

    ロビー活動とは国連や政府の交渉担当者に直接、政策提言をしたり、陳情したりすること。彼はリオ10を冒頭のメッセージに加えてこうも認識している。
    「現実的に考えてリオ+10において大きな決定が下されることは期待していないよ。これからの新しい流れをつくっていく一つのステップと考えている」

 

私たちには地域がある!

   最後にこのような考えを持ちどのような方法で実践に移していくのか聞いてみた。
    「地球的な環境問題の解決を国連の場に求めていくのではなく、個々のコミュニティの場に求めていきたい。宣言を用意し国連、NGO、市民の広い層に呼びかけていく。そして年二回ニュースレターを発行し、ホームページでもダウンロードできる体制にする。国際貿易、金融体制に対する視点からリオ+10に向けてメッセージを出していき、リオ+10の期間中はヨーロッパの各地でアクションを起こす計画がある」

   国連の中に理想を求めていくのではなく、逆に地域をつなぎ大きな力にして変えていこうという姿勢に驚いた。彼は、多国籍企業の力が強まり、もはや国連で公正なルールづくりが難しいことを感じているのではないだろうか。

(文責 藤長展子)

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