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市民メディアとメディアリテラシー

市民による市民のための新しいメディアに参加を

日本のマスメディアの国際競争力を高めるために、2010年までに「情報通信法」を策定して、通信業界と放送業界を融合し、放送と通信に関する9つの法律を一本化することが話し合われている。背景にはブロードバンド普及によるインターネット上の動画配信サービスの目覚ましい発達や、地上波デジタル放送への移行が絡んでくる。
通信と放送の融合とは、単にテレビ番組をインターネット上で見られる、ということではない。デジタル化、ネット化することで、あらゆる広告の費用対効果―何人の視聴者が、どのようなリアクションをしているのか、など―が詳細にカウントできるようになるという意味を持つ。これまでテレビコマーシャルが、間接的にしか成果を追及されなかった時代から、リアルタイムで数値化されれば、広告価格に圧倒的な競争原理が働き、より効果的な広告媒体に、広告費は移動すると思われる。

電通の調査によると、2006年の日本の総広告費は5兆9954億円、うちテレビ広告費は30%超の2兆0161億円であった。この数年、テレビ広告費は微減傾向ではあるが、ほぼ同水準を保っていた。冒頭でも触れたように、新聞・テレビ・雑誌・ラジオの4大媒体は3年連続の減少が続いているが、インターネット広告は利用者の属性や地理情報、そしてページの閲覧履歴を元に徹底した広告分析を行う「行動ターゲティング広告」など、新しい広告手法の導入が功を奏し24.4%増と続伸している。

広告モデルの変化と並行して、市民にとって希望のある変化が起こっている。既存のメディアが「伝えない判断」を下すニュース―広告スポンサーの意向や政権政党の重要政策のタブーに触れる―それらを細やかに掬いあげて伝えていこうとする新しいメディアとして、コミュニティメディア、市民メディア、非営利放送などと呼ばれるオルタナティブ(代替的)なメディアが増えていることだ。特徴として、自主的な運営、行政の支援による運営、少数のスタッフとボランティアによる活動、大手マスメディアの補足的要素が強い、といった点がある。

前述の「2010年に向けた情報通信法の議論」では、コミュニティメディアの議論が十分になされてないという指摘もある。コミュニティメディアはラジオ、テレビ、ウェブを通して少数の人のための情報発信など社会性を重視した報道を行う。たとえばコミュニティラジオ「FMわいわい」は11言語で放送されている。
以下に紹介するものは増え続ける多様なオルタナティブメディアのごく一例である。有料ニュース配信で採算がとれているオルタナティブメディアはまだ多くないが、よりメディアとしての独立性を視聴者自らが求めるためにも、市民のますますの参加と社会的な基盤整備が求められている。まずはお気に入りのオルタナティブメディアを見つけ、活用していこう。

オルタナティブメディアを体感してみよう

「DAYS JAPAN」

インタビューに登場していただいた広河氏が編集する「DAYS JAPAN」は、フォトジャーナリズムの月刊誌。
大手メディアには載らない世界各地の戦争や紛争、人権侵害、自然破壊などの現場を伝えている。ショッキングな写真も少なくないが、「目をそむけずに事実を知ってほしい、自分達の問題として受け止めてほしい」と語りかけてくる。

ニュー・インターナショナリスト・ジャパン

ニュー・インターナショナリスト・ジャパンも同じく月刊誌。世界の貧困や不平等の問題を扱うが、現状を伝えるだけでなく、それを改善しようと活動する人々についても伝えることで、「読者を無力感と無関心の沼から救い出し、前向きに社会の将来について考えて行動できる」誌面を目指している。

週刊金曜日

週刊金曜日は、自らを「ウソ発見誌」と呼ぶ週刊誌。国内の政治、政府組織、企業などについてのニュースが中心だ。あらゆる組織の「内部告発」を募集しているところも特徴的。市民運動を紹介するページも設けている。

ビデオニュース・ドットコム

まずはインターネットで手軽に、という方は、ビデオニュース・ドットコムはいかがだろう。国内の政治や社会問題を中心に、ジャーナリストの神保哲生氏らが専門家と共に迎えて討論する、というスタイルの動画ニュースを配信している。

OurPlanet-TV

同じ動画ニュースでも、環境・教育・人権などのテーマを主に扱っているのは、OurPlanet-TV。身近な題材から社会を考えるというようなスタンスの動画が多い。ドイツのオープンチャンネル(※)の番組(日本語字幕付き)が見られるのも面白い。
(※)「オープンチャンネル制度」:ドイツで法的に定められている、一般市民が制作した非営利の番組を、TV局が手を加えずに放送する制度。

JanJan

ネット上では、他にも一般市民が記者となって投稿した記事を編集・配信しているメディアが多くある。JanJanでは、市民記者から寄せられた選挙や政治、社会、平和 メディアの問題などのニュースを発信している。動画・音声ニュースのコーナー、「TV JAN」もあり、講演や記者会見など様々な映像を配信している。

News for the People in Japan

News for the People in Japan(NPJ)は、中心メンバーに弁護士がおり、「NPJ法廷日誌」など司法関係のニュースが充実している。その他、大手新聞から小規模な団体のサイトまで、多岐に渡るニュースをリンクしている。

【コラム】メディアリテラシーとエコリテラシー

環境・社会問題について関心を持ち、エコなライフスタイルを選ぶ人が増えている。そんな「エコリテラシー」の高い人は、ぜひ進化し続けるオルタナティブメディアに参加し、日々の情報源として活用することで、ニュースの根底にある事実を追求する力「メディアリテラシー」も高めよう。マスメディアとオルタナティブメディアのニュースを自分の価値観で比較し、自分がどんなメディアを求め、選ぶのか、メディアは誰のものか、そういった声を上げてゆくことが、「メディアCSR」を推進する力となる。以下にある10項目のチェックリストで自分の「エコリテラシー度」と「メディアリテラシー度」を確認してみよう。

エコリテラシー度チェック

□ ささやかな寄付はよくするほうだ
□ NGO・NPOの名前を3つは言える
□ 将来住む家にはソーラーパネルをつけたい
□ 野菜を買う時は有機栽培や地元産にこだわりたい
□ 銀行を選ぶときもエコを意識している

メディアリテラシー度チェック

□ 新聞はしっかり選んで読んでいる
□ テレビのニュースには突っ込みを入れる
□ 広告やCMの意図を分析しちゃう
□ オルタナティブメディアをニュースソースとして1つ以上利用してる
□ 有料で質の高いニュースを買うことを心がけている

★リテラシー度チェック・点数別アドバイス★

  • 1〜5点の人 :まずはNGO・NPOのメルマガ登録から。
  • 6〜10点の人 :オルタナティブメディアの購読を増やしてみよう。
  • 11〜15点の人:良い・悪いと思ったニュースについて、メディアに声を届けよう。
  • 16〜20点の人:「市民記者」に参加・協力してメディアを変えていこう。

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