ソーシャル・エコノミー・ダイアローグ2014 第1回
〜企業・金融・市民活動の接点〜
を開催しました。
私たちA SEED JAPAN エコ貯金プロジェクトは、2014年7月26日、独立行政法人環境再生保全機構地球環境基金からの助成を受けて、「ソーシャル・エコノミー・ダイアローグ2014 第1回 〜企業・金融・市民活動の接点〜 」を新宿の野村セミナールームで開催しました。
このダイアローグは、パタゴニア日本支社 環境プログラム・ディレクター 篠健司様、三井住友信託銀行 経営企画部 CSR担当部長 金井司様をゲストに招いて行われました。そして、A SEED JAPAN理事 鈴木、西島を交え、企業・金融機関・NGOの三者で「責任ある経済」の仕組みづくりに向けた取り組みについて話し合い、これからの新しいアクションを考えていくダイアローグです。
オープニングではA SEED JAPANの鈴木から、A SEED JAPAN及び他のNGOが「責任ある経済」の仕組みづくりのために、どのような活動を行ってきたか等の話がありました。
次に企業、金融機関、NGOからの事例紹介へ移り、最初は企業の事例として、パタゴニア日本支社の篠様より、社会的責任を果たすための最近の取り組みや、衣料品サプライチェーンについてなどのお話がありました。パタゴニアは売上の1%を社会的な活動に寄付していて、NGOとうまく関係性を保っていると思われがちだが、NGOからプレッシャーを受けていて、様々な課題に取り組みを行っているとのことです。製品の一部にフェアトレードを取り入れたり、石油由来ではなく植物由来の素材を使用してサーフィン用のウェットスーツを制作していたりするそうです。
パタゴニアは自社と関係する様々な環境問題に対して社会的責任を果たしており、それらに対しての情報公開も積極的に行っており、企業の中でも先進的な存在と言えます。
2番目に金融機関の事例として、三井住友信託銀行の金井様より、自然資本という考え方と、自然資本という考え方をどのように事業に組み込んでいるのかということをお話いただきました。襟裳岬の森林が回復するに従って、漁業量の回復もしたという事例を通して自然資本に関してご説明いただきました。自然資本をどのように融資、投資、信託といった事業に盛り込んでいるのかもご説明いただきました。
三井住友信託銀行のような金融業界のメインストリームに位置する金融機関が、自然資本等の生態系を意識していかないと、金融機関にとって事業を継続することができないと考えていることは、とても評価できることだと私たちは考えています。
3番目にNGOの事例として、A SEED JAPANの西島から、地域発展とエネルギー問題に対しての金融機関の役割について話がありました。核燃料サイクル事業を例に挙げ、日本政策銀行からもこの事業にお金が流れていることを指摘し、市民が払う税金の一部が日本政策銀行を通して流れていることを説明されました。このようなことに関して市民はどのように監視し、行動すればよいか考えていかないといけないと問題提起がありました。
そしてこのイベントの最後では、A SEED JAPANの土谷をモデレーターに置き、上記登壇者によるパネルディスカッションを行いました。
その中で、金井様から最近金融庁が中心になって策定された機関投資家に対して社会的責任を果たすための規範を示した「日本版スチュワードシップ・コード」に関しても話がでました。127もの機関投資家がこの日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを表明し、融資よりも投資の世界で社会的な責任を果たそうとする動きが加速していることを指摘されていました。
西島からは金融に関して個人でできることとして、NPOや社会起業家等に融資をしているNPOバンクに自分のお金を預けるという方法が有ることが紹介されました。
土谷より、A SEED JAPANも関わっているFair Finance Guideに関して説明がありました。このFair Finance Guideは元々オランダでBankwiserという名称で2009年に始まったWebサイトです。金融機関のポリシーを評価する仕組みを作り、各金融機関に点数を付けます。その評価を元に、預金者がお金の預け先をより良い金融機関にしたり、金融機関側にアクション、プレッシャーをかけたりすることを目的としています。今後日本を含む世界7カ国で広めようとしています。
パネルディスカッションの中で、日本版スチュワードシップ・コードが話題に挙がりました。このような行政と金融機関が金融での社会的責任を意識し始めた今こそ、NGOである私たちもこのことを盛り上げるために、このようなダイアローグや様々な活動をしていかなければならないと考えています。今後の私たちの活動をぜひご期待ください。