残暑の厳しさが残る9月10日、新宿エコギャラリーにて、グリーンエコノミーダイアローグを開催いたしました。
ダイアローグの前半では、4月に金融機関として初めての脱原発宣言を行った城南信用金庫吉原毅理事長にご登壇頂き、
後半では環境エネルギー政策研究所の竹村英明氏と朝日ライフアセットマネジメントの速水禎氏、
エコ貯金プロジェクト理事の土谷によるパネルディスカッションを実施いたしました。
吉原氏による基調講演
脱原発宣言を行った4月当時、吉原理事長は脱原発に対してどこまで踏み込むのかと職員から不安の声はあったものの、
一人ひとりを説得したと言います。そして元三井住友銀行頭取(現 同顧問)の西川善文氏が自身のブログ(5月26日付)
で「城南信用金庫が震災後いち早く発信した『脱原発宣言』には全金融機関が見習うべき点がある」と述べたことにも触れ、
地域を守ることが信用金庫の使命であることを再認識すると同時に「大変心強い思いがした。」と言います。
自身の考えるおカネの本質についても「貨幣機能とは価値保存機能・価値貯蔵機能・価値尺度機能の3つがあり、
これらが個人主義との密接な関係の中で人の心を暴走させてきた」と語りました。
「脱成長について、金融機関の立場からどう思うか」という会場からの質疑に対しては、
「数字に表れる豊かさとそうでない豊かさがあると思う。経済成長を否定することは間違っていると思うが、
その中身についてはしっかり見極める必要がある。」との考えを明らかにしました。
また、今回東日本大震災に伴い発生した原発事故についても「都市銀行も困っているとは思う。ただ、
考えてこなかったつけは必ず払うことになる。この際、二度と同じようなことが起きないよう健全な未来の創造に向けて舵を切るチャンスと捉え、
金融機関の役割を認識し前向きに対応してほしい」と自らの想いを語りました。
会場から吉原氏への質問
後半のパネルディスカッションではまず、登壇者のお二人からそれぞれの取り組みについてお話し頂き、
会場との活発なディスカッションが行われました。
自然エネルギー事業に携わる竹村氏は、市民ファンドを立て始めた当初「銀行からの融資は受けられなかった」と言います。
しかし商法535条に規定されている匿名組合契約に基づく出資により2億円を集め、
「おひさまエネルギーファンド株式会社」を通じた設備の施工にこぎつけたそうです。
その他にもグリーン電力証書の発行や、過疎地域の活性化させるプロジェクトの一つとして行っている
「1%for祝島」の例などをご紹介頂きました。
続いて速水氏には実際にファンドを運用している立場から、専門的な内容もわかりやすくご教示頂きました。
東日本大震災以来、メディアの取材を受けることが多く「なぜ電力会社に投資しなかったのか?」
と聞かれることが増えたと言います。速水氏は「放射性廃棄物が大きな負債となるため、
ビジネスとしても原子力への投資は合理的でないと考えた」
さらに青森県六ケ所村にある高濃度核廃棄物処理施設『もんじゅ』を例に挙げ、
「運転資金だけで毎年230億円かかる施設の資金回収をどうするのか、
そのことをもってして納得がいかなかった」と説明して下さいました。
竹村氏(左)、速水氏(右)による説明
自然エネルギーを普及させるには送電網や買い取り価格をどうするかなど、
国の政策がカギを握っているという竹村氏。また、太陽光発電よりも風力発電のほうが雇用を生むため、
地域活性化につながるなど、自然エネルギーへの期待は今後より一層高まることが期待されます。
そんな中、金融機関や預金者である市民一人ひとりがどうお金の流れを創造していくべきか、
あるいはどのようなお金の流れを創造したいのか、改めてきちんと考え行動に移していくことが大切なのだと思いました。
エコ貯金プロジェクトでは、今後もダイアローグを開催予定です。ぜひご参加ください。
※ ダイアローグの様子を動画でも公開しています。閲覧される方は、
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