「ろうきん」は五〇年前に労働者の組合から生まれました。
戦後、国が掲げた「経済発展(=企業成長優先)」の影で、特に社会的地位が低い労働者は、普通の金融機関からはお金が借りられず、高利貸しにすがるしかない社会的状況がありました。そんな人々が「自分たちにも使える金融機関を」と考えて、「ろうきん」が生まれました。
銀行などの普通の金融機関と違って「ろうきん」は営利目的(利益を株主などに還元すること)ではなく、雇用される個人全ての福利厚生を向上することが目的でした。コンセプトは「相互扶助(助け合い)・安心できる社会」ですね。(筆者注:「ろうきん」は利益を株主などに還元しない非営利(NPO)金融と呼ばれる。)
今はさすがに労働者がお金を借りられないという時代ではなくなりましたが、世の中が不況で、雇用が守られなくなっていますし、高齢化も進んでいます。専業主婦では生活ができず、働くので子供がもてない、という悪循環もあります。行政は市民の福祉のニーズに追いついていません。「公」(行政)の果たす役割が不安定だから不安が蔓延しています。一方で、若い人たちにとっては、ライフスタイルや価値観を大事にする「個」の時代に変わってきています。そういう時代にこそ「個」が相互扶助する「ろうきん」の役割も大きいと思います。
NPO・NGOって、個人で解決できない社会問題に取組む存在ですよね。NPO・NGOのように「公」(行政)の限界に、「個」としての市民が自発的に取組むこと、これも「相互扶助・安心できる社会」だと思います。「ろうきん」とNPO・NGOは使命がとても近いことに気が付きました。
そこで、「ろうきん」では「NPOローン」として市民活動の立ち上げを支援する助成プログラムと、活動して三年以上経った団体への融資制度を充実させています。