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【貯金に対する意識を変えよう!〜もう一つの世界は可能だ〜】

いま「もう一つのグローバリゼーション」という動きが世界各地で広がりつつあります。「連帯経済」とも呼ばれるこの動きは、権力とお金をもっている人だけが世界のルールを決めている「経済のグローバリゼーション」に草の根から闘いを挑んでいます。私たち「エコ貯金プロジェクト」も目指す「もう一つの世界」とはいったい何でしょうか。

●グローバル経済VS連帯経済

一九九一年のソビエト連邦崩壊後、先進国も途上国も「市場経済」という競争社会の荒波に投げ出されました。その結果、貧富の差はますます広がり、国境を越えて複数の国で事業を行う会社(多国籍企業)は、さらなる利益を求めて世界中で活動しています。

一方、利潤を生むことを目的としない経済活動も存在します。NGO(非政府組織)やNPO(非営利組織)、協同組合(生協など)、共済組合などがそれにあたります。これらは人と人との結びつきを大切にした経済活動(連帯経済)と呼ばれ、環境や人権に配慮し、直接民主主義的な参加型のアプローチで取り組まれています。草の根の連帯経済は決して大規模なものではありませんが、お互いの顔が見える規模で、「地域レベルのネットワーク=もう一つの世界(※)」を築いています。

※「もう一つの世界」の事例

フェア・トレード

途上国の貧しい人たちが貧困から抜け出せるように、生産者と対等に直接取り引きすることで中間業者を排除し、一般の市場価格ではなく「フェア(公正)」な価格で商品を買うこと。また、価格の面だけではなく、環境破壊を引き起こさないような長期的視野で持続的な発展を目指している。

マイクロ・クレジット
貧しい人たちの経済的自立を支援するため、少額のお金を担保なしで融資する取り組み。貧しい人にお金を貸してきちんと返済してもらい、彼らを経済的に強化することで、社会全体の強化を目指している。そのため持続的で効果的な貧困削減の手段の一つとされ、注目が集まっている。
地域通貨
お互いを助け合うサービスや行為を、時間や点数、地域やグループ独自の紙券などに置き換え、それを「通貨」としてサービスやモノと交換して循環させるシステム。最近はその取り組みも各地で始められており、国の通貨(円)とは異なる「もう一つのお金」的な役割を果たしている。
トービン税
有価証券、土地などの価格変動によって生じる売買利益を目的に、資金を投げ打つ行為(投機)に課税をし、その税収を開発途上国の貧困や環境破壊の対策資金にあてるという考え方。いまだ実現していないが、一回の投機的な取引につき〇.一パーセントの税率でも、年間三九〇〇億ドル(=約四三兆円)の税金を徴収できるといわれている。

●「エコ貯金プロジェクト」の提案する「もう一つの世界」

環境問題やそれに含まれる社会的な不公正を生み出さない社会を作るためには、お金の流れをよりエコロジーに変える必要があります。私たちの「お金を預ける」というなにげない行為も、その例外ではありません。

でも、自分が預けたお金の行方を気にしている人なんて、現実にはほとんどいないのではないでしょうか。まずは、貯金に対する市民の意識を変えることが重要です。
そこで、四・五ページで紹介した「ろうきん」のように、「エコ貯金」の受け皿となる「もう一つの世界」を紹介します。

出資型金融機関
元本を保証する預金ではなく、本人の意思に基づく「出資」により貸出金を調達し、NPOや環境グッズの購入に融資を行う自主的な機関。出資者は元本や配当を保証されないが、市民たちが自ら運営する出資型金融機関が全国各地に広がりつつある。(表一参照)
SRI(※)・エコファンド
環境を重視し、他の企業よりその取り組みが進んでいる企業の株式に投資するファンド。SRIの一種として環境に対する意識の高い市民を中心に、欧米では人気のある金融商品となっている。<表2参照>
(※:社会的責任投資。資金を投下する際に、財務的な観点からの判断だけでなく、資金の投下先の事業の社会的側面をも考慮して行う投資。)

●「もう一つの世界」は可能か?

これらの「もう一つの世界」が、グローバル化した市場経済に代わって世界を席巻することは期待できません。現実的に考えれば、すべての貿易をフェア・トレードで行うことはできません。マイクロ・クレジットや出資型金融機関が既存の銀行に取って代わることはできないし、地域通貨がドルに代わって基軸通貨になることはありません。

しかし、グローバリゼーションは大企業にとって有利に働くようにできています。ゆえに、私たちは社会的責任をあまり持っていない多国籍企業の活動を監視し、グローバル化した市場経済をコントロールする必要があります。そして、一般の人の生活をよくするためには、グローバルな資金の流れとは切り離された、小規模で地域に密着した金融機関が必要です。現在、「エコ貯金の事例は全国各地に続々と生まれつつあります。私たちの提案する「もう一つの世界」はこちら→http://www.aseed.org/ecocho/

【参考文献】
・種まき六五号 特集「お金の流れを知ろう変えよう」
・種まき六九号 特集「『コミュニティ』という価値」
・『環境破壊のメカニズム』田中優、北斗出版
・二〇〇三年十月十二日 アジア太平洋資料センター・三十周年記念シンポジウム
 「もう一つの世界は可能だ」プログラム資料

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