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「環境金融行動原則起草委員会モニタリングレポート」第5回


 2011年6月13日(月)、あらた監査法人にて第5回起草委員会が開催されました。 当初は3月16日に開催が予定されていましたが、 東日本大震災の影響もあり約3カ月遅れての開催となりました。 参加金融機関として日興アセットマネジメント株式会社、 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、オリックス株式会社が新たに加わり、 また新年度を迎えたこともあり担当者が変わった金融機関もありました。

 始めに、連合がワーカーズキャピタル責任投資ガイドラインを公表したことを受け、 日本労働組合総連合会の竹詰氏より取り組み紹介がありました。 連合には「ワーカーズキャピタル」と呼ばれる労働者が拠出した、 ないしは労働者のために拠出された基金があります。 これには年金基金をはじめとする、スト闘争資金、労働組合の共済資金に加え、 労働金庫や全労済の資金も含まれています。2008年に起きたリーマンショックを受け、 連合は投機マネーの暴走は自分たち労働者の生活を脅かすという認識を持ちました。 自分たちの安心した生活を維持するためにも、 短期的なハイリターンを追及する運用を通じて多国籍企業や投機マネーに加担することをやめ、 グローバリゼーションが生んだマネー偏重主義の仕組みを変える責任があるという反省の意識を持って、 ガイドラインの策定および公表に至ったということでした。
 2009年から策定作業を進める中でも、責任投資が何かわからない、時間と労力がかかる、 儲からなかった時に誰がどう責任をとるのか、などと言った疑問も多く寄せられたと言います。 しかし竹詰氏は「すべてを理解する必要はない、 新しいことだから時間と労力がある程度かかるのも仕方ないがこれを行動としていくことに意義はあるし、 収益を犠牲にするためのものでもなければ儲けるためのものでもなく意志を持つものだ」 として話し合いを重ねてきたそうです。 責任投資の実行についてはどのくらいの規模か時間がかかるかはまだ分からないとしつつも、 自治労が100億円のSRI運用を始めたことなども機に広まっていくのではないかとしています。 また竹詰氏は「まずどうしたらいいのか」という疑問の声に対しては 「まず基金の理事会に提案してみてほしい」と伝えているそうです。 委員長の末吉氏も「われわれ金融機関が越えていかなければいけない壁を打破してきた良い例だ。」 として連合の取り組みを高く評価していました。

 委員会が策定している行動原則については、総論の序文、 前文そして原則の改訂について変更点が共有され、 今後のスケジュールについても公表されました。 序文には、当初明記されていなかった東日本大震災について追記され、 世界規模の貧困問題や気候変動リスクが高まる中で 持続可能な社会の形成にむけた金融の役割について言及するものとなりました。 しかし、持続可能な社会という言葉の定義が曖昧であることや、 当初から「敷居は低く志は高く」という理念を掲げている中で 各論と総論の署名の仕方も考慮したうえで内容を考える必要があるとして、 合意形成の実行手段が新たに課題として浮き彫りとなりました。 今後は各論のワーキンググループから総論に対する意見を集めてから再度総論のとりまとめを行い、 フォローアップ体制についても議論されたのち、9月以降に順次署名が開始される見込みです。


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