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「環境金融行動原則起草委員会モニタリングレポート」第3回
原則の構成が決定! 2011年3月までに前文と総論が完成か


 2010年12月21日(火)、ホテルフロラシオン青山にて日本版環境金融行動原則起草委員会(第3回)が開催されました。 今回は、第2回の委員会で設置が決まっていたワーキンググループ(以下「WG」)が11月24日(保険・運用WG)、 11月26日(総論WG)、12月1日(融資WG)、12月2日(投資・運用WG)にかけて実施されており、 各WGの座長からその報告と質疑応答、そして各WGの結果を踏まえた原則の策定基準(案)と構成(案) が末吉委員長と各WGの座長から提案されました。
 原則の構成については前文、総論、各論の三部構成で合意され、 今後の日程についても2011年3月を目安に原則の前文と総論を完成していくことが決まりました。
 また各WGでは主に、総論とそれぞれの各論の策定に際してのポイントや目的・位置づけ、 さらにスケジュールなどが話し合われており、それらを踏まえどうすれば「志を高く保持ながらも裾野を広げ、 かつ実効性の伴うもの」になるか議論が行われました。

<各WGの報告>
@総論WG 座長:金井 司委員(住友信託銀行 企画部CSR担当部長)
 総論WGでは既存の環境配慮型原則(責任投資原則や赤道原則、UNEP−FI) と齟齬がないとしつつも、それらが補完しきれていない地域の独自性にも配慮できるようにすることや、 より実効性を伴うものにするためにもプラットフォーム組織を形成するなどの意見が出されました。 また、前回の委員会でも議論されていた「環境のみに特化するのか、ESGなのか」という点についは、 ESGに対応しつつもESGに重点を置くことで合意され、今後の課題としては、 年金基金などまだ取り込めていない参加者をどう巻き込むか、 既存の原則等との連携方法や署名の形式などが挙げられていました。

A融資WG 座長:竹ケ原 啓介委員(日本政策投資銀行 CSR支援室長)
 融資WGでは、融資業務に際する環境側面を実際にどう織り込むべきか、 預金や信託の議論をどう取り込むか、既存の国際的な原則に対してどう差別化できるのかなどが話し合われていました。 さらにフォローアップ体制については、業界団体との連携をとる必要性や原則の改訂方法についても検討されていました。 今後のスケジュールとしては、総論WGの動向を見ながら2回目以降のWGの実施を検討しており、 現在実施されている取り組みを把握したうえで最終的な各論の策定につなげていく見込みです。

B投資・運用WG 座長:河口 真理子委員(大和証券グループ本社 広報部CSR担当部長)
 今回のWGでは投資よりも運用について中心に議論がされていました。 ここでも話題にのぼっていたのは原則の実効性についてで、 PRIについては署名が無料ということもあり多くの金融機関が原則に賛同しているものの、 その後の取り組みを見てみると手詰まり感は否めず、日本版を策定するからにはより多くの金融機関に周知させ、 モニタリング等の実施や預金者等への情報公開として取り組み状況を報告できるようなフォローアップ体制などが検討されていました。 また、今後のスケジュールについては総論WGの状況を見ながら検討するとのことでした。

C保険・運用WG 座長:関 正雄委員(損害保険ジャパン 理事CSR統括部長)
 総論に関する議論では、定量的な数値目標を入れることは目的に合わないという意見が出され、 示すのであれば各論にすべきであると検討されていました。 またプラットフォーム作りについては、内閣府所管で2009年から実施されている 「社会的責任に関する円卓会議」 における金融セクターでの業界団体の連携を参考に取り組みを進めていくべきという意見があり、 さらに既存の国際的な原則との整合性に関しては、 UNEP-FIの動向を注視しつつ日本からの意見を述べることや、 UNEP-FIに署名していない金融機関からその原因を聞き解消することで、 志を高くしたまま裾野を拡大していく可能性を見出すことなども検討されていました。


関心高まるも、より多くの声を
 このたび、第3回を迎えた起草委員会ですが、いよいよ原則の策定に向けて本格的に取り組みが始まったのだと感じます。 またオブザーバーの人数も回を追うごとに増加しており、今回はなんと申し込み時点で約70名だったそうです。 より多くの人の関心が高まっている証拠かと思いますが、 オブザーバーリストを見るとまだまだ私たちのような市民団体に比べて金融関係の方が多いようです。 委員長の末吉氏は議論の途中、「各業界や預金者、またはNGO等からの意見も参考にしつつ進めていきたい。 また実際にデイリーの業務で関わっている人にもWGに参加してもらうなどして現場の声を反映していくべき」 との意向を示しました。私たちの注目度によっては、今後パブリックコメントの実施が検討されるかもしれません。 エコ貯金プロジェクトでは引き続き、日本版環境金融行動原則のモニタリングを行っていきます。

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参考リンク:
平成22年12月13日 日本版環境金融行動原則起草委員会(第3回)の
開催について(環境省報道発表資料)

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