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「種を守ろう企画」


このプロジェクトは、「種を人々の手に取り戻そう!」というプロジェクトです。

私達が普段、食べている作物の大半は、F1種という品種です。試しに近所のスーパー、八百屋、種屋さんに尋ねてみてください。「近頃の農作物は大半がF1種だね。」という返事が返ってくるはずです。F1種は日本が高度成長期を向かえる1960年代に急速に普及しました見た目がきれいで、形が整っている農作物が求められている時代の中、F1種は優れた品種として農家の間に広まっていったのです。

1960年代以前、日本が高度成長期に入り、農薬・化学肥料が普及する以前、人々は、その地域の風土に合った在来の作物(在来種)を栽培し、そして各地域独自の食生活を送っていました。東京地方で言えば、練馬大根、早稲田みょうが、目黒たけのこetc と各地の地名にちなんだたくさんの種類の野菜が栽培されていました。しかし、残念ながら現在では、そのほとんどが商業用としては栽培されていません。在来種を栽培しても、現在の市場では流通しないからです。その結果、農家は生計をたてるためにF1種を栽培するようになります。

農家は、
F1の種を種苗会社から、毎年購入します。F1種は1年間でそのすぐれた性質を失い、使い物にならなくなるからです。かつて、農家は自分の栽培する作物の種を自家採取しながら農業を営むのが一般的でした。1年の初めに種を蒔き、作物を栽培し、作物の花から次の年のための種を採るというサイクルを繰り返してきたのです。ですが現在では、農協や企業から作物の種を毎年 購入しなければなりません。そしてその種は、ほとんどがF1種です。その地域で育てられてきた作物の種を販売している種屋さんは、わずかとなってしまいました。


世界に目を向けると遺伝子組み換え種子(GM種子)の問題が最近、目立ちます。遺伝子組み換え種子は、モンサント社をはじめとする巨大な多国籍企業により、販売されています。販売の売り文句として、「収量が以前よりアップする。」、「少ない農薬で栽培できる。」etcなどが用いられます。アメリカ・ブラジル・アルゼンチン・カナダ・中国などで現在、主に作付けされています。日本は、商業用の作付けは、認められていませんが、世界で主要な遺伝子組み換え作物輸入国となっています。

この遺伝子組み換え作物に対して、
世界の農民は、「自分達の生活の糧である作物の種が多国籍企業に握られてしまう。」、「遺伝子組み換え作物の花粉が、在来の種と交じると、遺伝子汚染し、二度と在来種を栽培できなくなる。」という理由から、強い反対運動をおこしています。世界の農民にとって遺伝子組み換え作物の導入は、種の自家採取ができなくなるという事を意味します。生活の糧である種が、人々の手か奪われようとしているのです。

このような状況の中で、「種を人々の手に取り戻さなくてはならないのではないか?」という疑問を抱きました。「種を自分で採取できる事」は世界の農民にとって自立した生活の象徴であると考えるからです。それは、日本の農家にとっても同じ事です。そして私達 都会の青年にとっても同様です。私達は、日々作物を食べます。その食べ物の原点がいわば「種」なのです。 この様な問題意識から、私達は、「種を人々の手に取り戻す!」企画に取り組みはじめました。
 (文責 君嶋 耕)

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