なんでブッシュが選ばれる?
今回の選挙ではブッシュと反ブッシュにアメリカの世論が完全に二分された。特にイラク戦争へのYes
or No?が問われる選挙として、アーティストやハリウッドスターも両派どちらかに分かれ、激しい応援合戦を繰り広げた。
事前の予想ではブッシュとケリーの得票予想率はほぼ同率だった。スイングステートと呼ばれたペンシルバニア、オハイオ、フロリダの3つの州を中心とした激戦州が勝負の分かれ目になり、3州のうち2州を取ったものが大統領になると言われていた。
選挙終了後の当日夜に開票が始まり、まず両派の支持が強い州の獲得が次々に決まった。キモの3州のうち、ペンシルバニアを僅差でケリーを落とすも、フロリダ・オハイオが両州ともケリー優勢という予想に反して、ブッシュの票が伸びた。オハイオは選挙翌日まで再集計をすべきと民主党が主張していたが、最後はケリーが敗北宣言をし、ブッシュ再選が決まった。
選挙結果を見ると、民主党の青(ブルーステート;ニューイングランド(北東部)、五大湖周辺、西海岸のリベラル地域)に対して、共和党の赤(中西部、南部の保守地域)で
くっきりと分断されたアメリカが見える。赤の中には一つとして青い州は 無いほど真っ二つ。前回の選挙に比べて赤い州にが増えている。国際社会の動きを把握し、冷静に判断する知性(青)が、テロへの恐怖による感情(赤)に負けたということか。
http://www.cnn.com/ELECTION/2004/pages/results/electoral.college/
なぜ海外ではこれだけ不人気なブッシュ政権が再選するのだろう?米国民はイラク戦争のようなニュースを見ていないからか?それは違う。やはり強いアメリカを国民が求めており、大統領には強いリーダーシップが必要だと見ているのだろう。911の同時テロ以降、選挙の争点の上位にテロ対策があがり、テロに「来るならコイ!」と言えるリーダーシップを持つブッシュの方が結果として支持を広げているのだ。
第二の理由は、ブッシュ政権の支持層に信仰心厚い米国の大農牧業を主とする中西部、南部農村部がある点だ。米国の人口はNY、ロスアンゼルス、シカゴなどの大都市よりも実は農村の方が多い。伝統的に都市部の民主党系インテリ層を毛嫌いし、キリスト教的倫理観(中絶禁止など)を訴えたブッシュのより強固な地盤となっている。最近のアメリカでは日本人にはイメージしづらいキリスト教的価値観の保守化が際立っていると指摘されていて、キリスト教の宗教指導者が公然とブッシュを支持したりしている。
付け加えるなら、民主党のケリー候補にも問題があった。完全にイラク戦争と反ブッシュというメッセージのみに頼ってしまい、頼みの綱の浮動票をまとめきれなかった。
選挙システムについて、かなりキナ臭い話もある。激戦のフロリダ、オハイオは電子投票機による投票だが、その投票機のメーカー企業はブッシュ政権と縁が深いティーボルト社だ。この投票機は記録が残らず、不正が行われてもそれを立証することができない。選挙選の鍵となったフロリダ、オハイオの2州では選挙当日のテレビで「なぜこれほど民主党が強い地域(郡)でもブッシュが支持を集めているのか不思議だ」とキャスターが報道した。他の州では出口調査と実際の結果が合致しているのに、この両州だけは出口調査の結果よりも実際の選挙結果の方がはるかにブッシュ票が多いという報道もされており、ウサン臭いことこの上ない。果たして激戦の2州で不正が行われたのか、真相が暴かれるのを祈るばかりだ。
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