「ヘンプ」と聞くと、あのマークを思い出す人も多いはず。
そう、あのマーク。町のいたる所で見かける葉っぱのマークだ。車の芳香剤のモデルになったり、CDジャケットのデザインになったり、様々なアーティストが彼らの作品の中に取り入れたり…etc街のあらゆるところに登場する。「ヘンプって何?」っていう巣鴨で歩いているジイ様バア様たちの中でも、あのマークを見たことがある人は多いのでは。
さて、そのヘンプ。
そのマークはシンプルかつ存在感があるがゆえにここまで普及したのだろうか?
『いや、きっとそれだけじゃない気がする…。』
はじめにソフトドラッグとしての「ヘンプ」を話したい。
ここで抑えておきたいことは、良くも悪くも「ヘンプ」をソフトドラッグ的イメージとして認識している人たちがいるということ。「ハッピーになれるし、ちょっとカッコイイかも…。」あまりに簡単だが、そんな用途でヘンプを認識して楽しんでいる人が少なからずともいるのだ。
ここで明確にしたい私のスタンスは、「ソフトドラッグとしてのヘンプがいいか悪いか?」ではなく、「ヘンプの活用がそんなソフトドラッグだけに限定されてはもったいない。」ということなのだ。
またヘンプの不法利用にも反対する。
ヘンプにはドラッグだけではない、もっと多様な楽しみ方があるのだ。
そこでファッションとしてのヘンプ。
ここ最近、スローライフの傾向が積極的に消費者に受け入れられてきている。サーファーだけではなく、街のいたるところでヘンプのファッションを身に付けている人たちを見かけるようになってきた。スローライフやナチュラルライフが注目されることは、とても嬉しい。そんな人たちを見て私は懐かしくてやさしい、また温かい気持ちになれるのだ。ヘンプファッションはオシャレなのに気取らない、爽やかな風を受けるようなナチュラルな魅力を持っている。
このように、ヘンプってファッションとしても楽しめる。
そして実は他にも実用的な楽しみ方がある。ヘンプってとても奥が深いのだ。
例えばエネルギーとしてのヘンプ。
ある日本人がガソリンではなく、ヘンプを使って走るヘンプカーで日本一周をした。またアメリカにも同じような人がいる。そんなエコでファンキーな人たちが今、増えてきているのだ。
生物資源として化石燃料が毎日私達の生活で使われる。特に化石燃料の代表格の石油は、日本では取れないため、その維持を諸外国に頼っている。自分の国を動かすために必要不可欠な石油が自給自足できない状況は、経済的にも諸外国との外交関係のバランスを考えても不安定な状況である。すべての石油の代わりがヘンプになるとはいえないが、せめて日本で栽培可能なヘンプを燃料にして走るヘンプカーが街中で走り始めたら、少しは自給自足ができる国として成長していくのではないだろうか。
また、石油に頼るのは日本だけではない。諸外国も石油を必要としている。その限られた資源をめぐって起こる戦争。その戦争によって信じられない規模の生命が奪われている。人間だけじゃない動植物の命が奪われ、自然も破壊されている。「ヘンプによって一切石油に頼らない社会が形成される。」とは言わないが、一部のエネルギー源をヘンプに転換することによって、戦争をしなくてもよい地球作りの一歩になるのではないか。
もしも貴方が石油の代わりにヘンプを使い始めたら、「脱石油→脱戦争」の世界がより身近になる。そうすれば雲の上の理想ではなく、手にとって肌で感じれる現実的な平和な世界が近づいていくと思う。
自然エネルギーに熱いメッセージを持ち、斬新なアイデアで活動するアーティスト達がいる。
坂本龍一と、ミスチルことミスターチルドレンの桜井和寿と小林武志がap bankという金利組織を設立した。このap bankは自然エネルギーを支持し、自然エネルギーの実用化を計っている。これは、れっきとした金融関係の組織だ。このお金は自然エネルギーに取り組む活動体を支援する仕組みになっている。そうしたお金の流れで自然エネルギーの促進を図っているのだ。そう、着実に自然エネルギーは私達の生活に近いレベルに来ているのだ。
エネルギーとしてのヘンプがもっともっと注目されていくべきだと思う。
また、食としてのヘンプ。
ヘンプのレシピはあまりメジャーではないが、実はヘンプ(麻)の実を使った料理は日本文化の一部として昔からある。麻の油には人間の体に必要不可欠な酸が含まれ、バランスの高い栄養価で健康食とされている。この必須脂肪酸は人間が体内で作ることができないので、食物を通して必ず摂取しなければならいのだ。もしこれが不足したら髪の色艶がなくなったり、肌がかさかさしたりシワが多くなったりするのだ。そんな健康食としても優秀な麻の実をつかった料理はここ最近レストランで見かけるようになった。また夏の野外音楽イベントでもヘンプの実を使った「ヘンプビール」が立ち並ぶようになっている。夏のエナジードリンクことビール様。そんなビールに美味しくて栄養価の高いヘンプを取り入れて、体も心も満たされる。そして次の元気の源としてパワーが充電される。心身ともにパワーが与えられる、正真正銘のエネルギーなのだ。
またヘンプが原料のプラスチックもある。ご存知だっただろうか?
ヘンプで作ったCDケースや建築材料も出てきている。プラスチックを作る過程で石油が必要とされるが、ヘンプを使ったプラスチックができればそんな常識も覆され、新しい常識が生まれていくだろう。好きな音楽をエコに聴く。これって結構カッコイイと思う。
「ハッピー」だけのヘンプではない。
「オシャレ」だけのヘンプではない。
ヘンプにはもっと実用的な使い道があり、最近注目され始めている。
車を通してヘンプを見直す。また食生活の中でヘンプを見直す。
そうやってヘンプが私達の生活の実用的レベルにまで導入され活性化されていく。
ハッピーやオシャレだけじゃなく、自然エネルギーや個人の健康の「実用的エネルギー」としてのヘンプが私達の生活で浸透し、社会のなかで新たな価値観として存在しつつある。
新しい価値観が芽生え、社会の中で浸透され始めた時、熱い思いのアーティスト達が描いている社会が、やっと具体的に動き始めるのだ。
そして、ここで大切なこと。それは、「何ごとも貴方しだい」だということ。
ap bankに参加して、自然エネルギーを活性化させるのだっていい。ヘンプのメニューを極めてスペシャルな日にホームパーティを主催するのだっていい。ヘンプカーでいつもと違うデートを計画するのだって。
何でもいい。なにか行動してみよう。考えるのも大切だし、思い描くことも大切。そしてそれを実際に具体的に行動することで、流れが生まれるのだ。思ったことを行動しよう。熱い想いをアクションしよう。考えてるよりも難しくない。そして、一歩自分のテリトリーからでたとき、なんともいえない充実感が得られる。フレッシュな空気を肌で感じよう。石油や原発なんかで廃棄汚染するよりも自然エネルギーによってよりよい空気を作って、気持ちのいい風を肌で感じよう。気持ちのいい毎日を自分の肌で感じられる社会を皆で作っていこう。
※ 「エコカルは「麻」の不法利用には反対しますが、生物資源や衣料品としての合法的な使用については、積極的に推進しています。」
(PAKO)
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