ECOCUL/エコカル:社会変革とサブカルチャーを融合するプロジェクト
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  特集・テーマ    
    『華氏911』と『クニミツの政』は  
      政治変革とサブカルチャーを融合するか  
           
 

 
MICHAEL MOORE'S WAR

(C) TIME
6月25日、マイケル・ムーア氏のドキュメンタリー映画『華氏911』が封切りされた。政治風刺家のホープ、マイクの新作は、同氏が『ボーリングフォーコロンバイン』で達成したアメリカのドキュメンタリー映画興行記録2150万ドルを、たった三日で塗り替えた。この数字は、通常の映画館の三分の一の数で達成されたことを考えると、まだまだ記録を塗り替えそうだ。日本での公開日は、恵比寿ガーデンシネマ等で8月14日、その他の劇場では21日から見られるようだ。何かと話題の多いこの作品、観客は政治への関心が薄い若年層や無党派層が多いこともあって、間違いなく大統領選挙の投票率や投票行動に影響を与えるだろう。ブッシュ陣営はムーア氏を過小評価したことを後悔し、保守系団体サイト「Move America Forward」では「STOP MICHAEL MOORE」キャンペーンを展開しているが、ハリウッドスター、レオナルド・ディカプリオもスパイク・リーも、『華氏911』を絶賛しているとあっては、ブッシュ陣営の旗色が悪い。
【参考資料】
・『華氏911』オフィシャルサイト(日本版)
http://www.kashi911.com/
・マイケル・ムーアオフィシャルサイト(日本版)
http://www.michaelmoorejapan.com/
・暗いニュースリンク
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/06/911_2.html
       
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(C)講談社
最新刊19巻
 
7月11日の参議院選挙に合わせて、少年マガジンで連載中の『クニミツの政(まつり)』は、NPO「Rights」と協力して、主要5政党への突撃取材や、1万人の10代による模擬選挙企画を行った。発行部数300万/週を超えるメジャー雑誌は、前回の衆議院選挙でも同様の企画を行っている。「選挙に行こう、しっかり選ぼう」というコンセプトの企画が、ここまで若者向けに大掛かりに行われていることは評価したい。

『クニミツの政』は、まさに「日本一、青年の投票率をあげるマンガ」だ。細かい賛否はいろいろあるが、政治を真正面からテーマにしたストーリーマンガが、日本のマンガのジャンルとして認知されつつある。この流れが大きくなることを期待したい。少年マガジン(講談社)の『クニミツ』の人気が伸びれば、ライバルである少年ジャンプ(集英社)も選挙特集を組んだりするのだろうか。少年ジャンプの『ワンピース』は、単行本(26巻)で初版発行数の日本記録(260万部)を記録したが、例えば「ルフィの選挙入門」の巻でもあれば、未来の有権者である日本の若者の政治参加意識もあがるだろう。何せ単行本は累計1億冊以上、売れているらしいから。
【参考資料】
・未成年『模擬』参議院選挙2004
 http://www.rights.or.jp/youth-vote/sangiin2004/
・若者たちの政策メディアSEIRON
 http://seiron.org/
           
   
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『華氏911』と『クニミツの政』に共通して言えることは、作者による強烈な社会的なメッセージ(社会性)があり、作品にインパクト(芸術性)があり、そしてより多くの人にメッセージが伝わるメディア力(大衆性)があることだ。そしてその背景には、イラク戦争や年金問題といった、市民の政治家に対するフラストレーションがあり、その問題に取り組む数多くのNPOがある。サブカルチャーと社会変革が融合する時、人々が傍観者から参加者へと変わり、投票率100%の社会が夢でなくなるかもしれない、とは楽観主義的に過ぎようか。『華氏911』と『クニミツの政』は、映画とマンガという違いはあっても、どちらも投票率をあげまくる社会派サブカルチャー。夏休みには、そんな「エコカル」な作品を楽しみたい。(Ryo)
 
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