アクション前後で選ばれている金融機関を見ると、アクション前には約65%を占めた郵貯・都市銀行が、アクション後に約4%へ大幅に減少し、代わりに地域金融機関である地銀、信金、労金のシェアが大幅に増加したことがわかります。さらに、NPOバンクへの出資や、最近広がりを見せているSRIファンドに挑戦しようという人も約10%を占めています。
まず、郵便貯金や都市銀行からお金を引き出したいという人が多い理由としては、やはり銀行の本業(=投融資)における環境配慮の取り組みが不十分と評価されていることが考えられます。都市銀行においても最近では環境配慮型の融資制度などが導入されつつありますが、国際的な環境融資基準の採用や、社会的な事業に対する優遇金利の導入など、まだまだ取り組むべき課題が多いと言えます。
次に、地方銀行や労働金庫、信用金庫など、地域の金融機関や非営利の金融機関のシェアが伸びたことについては、いくつかの地方銀行の先進的取り組みや、労働金庫、信用金庫の非営利性・理念が評価された結果と考えられます。しかし、環境への取り組みが十分に広まっているとは言えません。地方に住む人にとっては、まだまだ選択肢が非常に限られているという現実があります。今後、こうした地域金融機関同士で、環境に対する取り組みについて切磋琢磨していって欲しいところです。
また、地域金融機関と比べて比率は少ないながらも、NPOバンクやSRIファンドを選んだ人が多いことも強調すべきでしょう。これは、「ある程度のリスクがあるとしても、社会や環境に配慮した事業にお金を使って欲しい」と考える人が増えてきたことを意味していると思います。しかしながら、NPOバンクはまだ設立されている地域が限られており、SRIファンドも実は大企業の株が中心となっている場合があったりと、十分な選択肢が揃っているとは言い難いところです。。ここでも、この「選択肢」を増やすための努力が、金融機関の側にも、市民の側にも求められていると言えます。
このように、アクション結果を通して、エコロジーなお金を創り出したいという参加者の皆さんの思いと、それに対する現状の課題が見えてきました。これから、こうした課題をどう解決していくべきか、12月に開催が予定されているNPOバンクフォーラムなどの機会を通じて、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。残り短い期間ではありますが、これからも「口座を変えれば世界が変わるキャンペーン」をよろしくお願いします。
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