3月26日に第4回勉強会「投資信託におけるESGウォッシュを知ろう~「脱炭素」「カーボンニュートラル」「気候変動対策」、その中身をウォッチ!!!」を開催しました。高校生1名、社会人3名にご参加いただきました。
今回の勉強会では、まず3月から実施している「ESGウォッシュ(*)に対する意識調査」の概要・回答の集計経過、5月にまとめ、その後資産運用会社への提言として届ける予定の「ESGウォッチ・インフォメーションシート」を紹介し、参加者の皆さんと共にESGウォッシュの現状を整理し意見交換などを行いました。
*) ESGに配慮した投資を掲げているにもかかわらず実際の運用プロセスがその方針と矛盾していること
ESGや環境・社会問題についての意識、ESGウォッシュの認知度、投資への関心・経験・知識の度合いを知るために、ESGウォッチメンバーの知り合いやA SEED JAPANが加盟・協力するネットワーク、他団体経由で、日本の若者を中心にアンケートを実施しました。
今回は2023年3月7日〜21日の間に集まった回答の中間報告を行いました。
職業(大学生・社会人)別や投資経験・関心別での「ESG・ESGウォッシュの認知度」、「投資信託におけるESGウォッシュの認知度」、そして「ESGウォッシュを見抜くために欲しい情報」としてどのような意見が出たか、を報告しました。
若者層での投資への関心は高い一方、ESG・ESGウォッシュの認知度は低い水準であるという結果が得られました。
しかし、「ESGウォッシュを知らない」と回答した人で「ESGウォッシュについて知りたい」と答えた方もかなり多く、このESGウォッチプロジェクトを実施する上で重要な意味を持つ結果であると考えられます。
23年3月26日 ESGウォッチプロジェクト「若者のESGウォッシュに対する意識調査」(仮集計)(PDF)
「ESGウォッチ・インフォメーションシート」には、ESGウォッチプロジェクトの活動背景、ESG投資についての基礎情報、大規模バイオマス発電の有害性、ESG投資信託を運用する資産運用会社への提言、そしてESG投資信託に投資する市民への提言等が書かれています。
23年3月26日 第4回ESGウォッチ勉強会_発表資料(PDF)
「環境に優しい」と言われてきたバイオマス発電ですが、近年その見解が疑問視されています。
バイオマス発電の燃焼によるCO2排出量は石炭火力発電と比較して多く、日本では燃料となる木質ペレットの国内供給量が少なく、輸入に頼っていることから加工・輸送等の各段階でも大量のCO2を排出します。
インフォメーションシートでは、このような大規模輸入木質バイオマス発電を行う企業に投資しているファンドをいくつか提示し、
の3つの着眼点で分析しています。
上記のことを踏まえた上で、ESG投資信託の運用会社に対して、特にESG投資の手法において期待すること、そして、ESG投資信託に投資する市民にどのような姿勢が求められるのかを提言としてまとめています。
インフォメーションシートに関しては意識調査の集計結果を最終化した後、ESGウォッシュを見抜き無くすための声を集める「ESGウォッチ宣言」の署名を集め、資産運用会社に届ける予定です。
参加者の方々との意見交換では、近年の教育現場における「投資」という話題の浸透と教師側の投資経験不足という現状、また森林開発と文明発展の関係性、企業活動の広報によるESGウォッシュの懸念といった様々な意見が上がり、「ESG」や「投資」に関して考えが深まる機会となりました。
今回の勉強会では、大規模輸入バイオマス発電を事例に、投資信託におけるESGウォッシュの現状を説明することで、参加者の方にESGへの理解を深めてもらいました。
ESGウォッチプロジェクトチームでは今後、2023年版の「ESGウォッチ宣言」や、ESGウォッシュを無くすための「アクションガイド」等で、市民が今後、投資やESGウォッシュに対してどのようにアプローチしていくべきかを提案していく予定です。
2023-05-14