SDGsカンファレンス「誰一人取り残さない」ための気候変動対策③

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第二部 パネルディスカッション

ここではご講演頂いた4方に①SDGsと脱炭素 ②SDGs・市民・ユース等の連携 の2つの質問のもとパネルディスカッションをして頂いた。

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①SDGsと脱炭素

Q:SDGs全般のお話をいただいたがその中で環境問題の位置付けや、他のパネリストの方へ質問があれば

A:新田氏
SDGsは広い概念だからこそ可能性を秘めている。日本国内ではまだ脱炭素やSDGsが身近に感じられないといわれているが、SDGs・脱炭素に加えもう一つ加えればSDGsと脱炭素が身近になるようなお題があればいいなと思っているが何かあれば。

A:山岸氏
SDGsは途上国だけの問題ではない。日本でも達成しなければならない問題であり、脱炭素の分野は特にそう。途上国で脱炭素を達成したいならまず率先して先進国が達成していないと説得力がない。先進国が歩んできた発展の道を目指す途上国に対し、異なる道を示せない。希望はあって、経済の成長とCO2排出が分かれていくデカップリングが進んできている。日本では2000年代後半から、ドイツではより顕著。そういう経済のありかたを示していくことがSDGsを進めることに繋がる。国内でもっと伝えていくことが大切。

Q:新田氏の質問への回答や、途上国の人々の思いを代弁するなどあれば

A:深草氏
気候変動の原因は先進国にあり途上国や貧困層が被害を受け、気候変動が格差を広げる要因になっている。ネガティブな入り方かもしれないが、私たちの責任を認識する必要性があるのではないか。それが罰ということではなく、行動するための原動力になればいいのではないか。どういう経済や発展の目指すべきモデルが必要かという議論に今後なっていくのではないか。

Q:日本での経済の流れを変えていくためにこうやっていかないということは?

A:田川
一人一人が長期的な視点をもつことでは。以前資産運用のアドバイスの仕事をしていたが、お客さんは安全ですぐ利益がでることを重視し、金融機関もそれに合わせがち。一人一人がじっくり考え、ちょっとずつ伝えていく地道な活動になっていくのでは。

Q:NSE投資についてなどお話を伺ったが今後の見通しや希望があれば

A:金井氏
NSE投資は今後ますます増えてくるだろう。また金融機関が投資家が立場を鮮明に。NPO化 NSE投資とNPO・NGOには連携の余地あるのでは。SDGsの話で言えば、経団連のSDGsへの踏み込み方はこちらが戸惑うほど。彼らはおそらくビジネスチャンスとしてこれをしているが、それはそれでいいのではないか。また脱石炭というだけではなく、その後のお金の流れまで考えていないと事態は動かない。

 

Q:脱炭素の大きな流れがある中で依然として石炭火力発電の問題などがあり、このギャップを埋めるのは大変難しいと思うが、今後のロードマップがあれば

A:山岸氏
企業は基本的にNGOの話を聞いてくれる。半分は善意やCSRの観点から。そしてもう半分は次どういった問題で企業が非難をあびるのか知っておくため。なぜならそれが企業のイメージ・株価・株主からの評価につながるから。そしてそのイメージを作っているのは市民。日本は資源のない国で、化石燃料が国際競争力を担保しているという論調はまだまだ強いが、本当にそう?という風に少しずつ反論していくことが大切。社会の変化は見えやすい形で現れていくのではなく、新聞の社説の論調が少しずつ変化するなどといった形で現れるもので、それを支えているのは間違いなくNGOでありそれを支える一般の人々がいるかどうか。 こういった活動を欧米では「アドボカシ―」というが、 日本では出版物の発行やイベントの開催など目に見える活動をしないとなかなか評価されない。

 

質問② SDGs・市民社会・ユース等の連携について

A:新田氏
NGOはある一つの問題に特化している。もう一つの大きなパートナーとして共同組合と一緒に「共助」という形でやれるのではないか。共助を政府も広げようとしているがまだまだ。 NGO・NPOもまだ協同組合との連携が出来てない。SDGsをきっかけに生協や森林組合・漁業組合などと連携できれば。(組合というセクターが認識されていないのも問題ではある。)

A:深草氏
FoEジャパンとしてはなかなかまだだが、FoEインタ―ナショナルは労働組合との連携を始めている。脱炭素を進めていくにあたり、移行のコストを金融セクターや市民だけでなく労働者も負うことになる。石炭火力発電が無くなればそこで働いていた人は仕事がなくなる。ただ脱炭素と言うだけでは労働者の権利を守れない。ジャストトラディション=公正な移行(移行に際してのコストをどのように負担していくか)での労働組合との連携を進めていきたい。

A:田川
金融の話になるが、いかに今まで環境問題に関わりの無かった団体と繋がっていくかがカギだと思う。エコ貯金プロジェクトでいえば、今後金融に興味を持つ市民は増えていくのではないかと思う。国として、国民一人ひとりが自分で資産運用してくださいという風になっていき、一人一人が自分の将来のことを考えないといけない時代になっていく中で、お金にはこういう役割があるのか、社会問題とこういうつながりがあるのかという風に金融教育の観点の中に盛り込んでいくのが大切ではないか。

A:金井氏
ダイベストメントは実はアメリカで1920年代からあったが、倫理投資をしてもパフォーマンスとは関係ないということで広まらなかった。今の状況は完全な先祖返りで、なぜ?と思ってみていたが、完全に市民意識の変革によるもの。ヨーロッパ、特にオランダや北欧は市民の意識がすごく高い。では投資家がなぜそれをやるかといえば、リスク管理のため。株価に影響するから。「リスク」が一つのキーワードではないか。コンサルティング会社に頼めば得るのに大金がかかる情報を、NGOは無料で公開している。NGOもふさわしい対価をとればいいと思うが、企業とNGOが連携すれば企業はリスクを回避でき、NGOも目的を達成することが出来ウィンウィンの関係になるのではないか。

A:山岸氏
二つ話したい点がある。一つはSDGsの議論は話が上すべりする傾向にあって、外因的な議論に留まる傾向がある。国内でそれを一番実感できるのは地域創生の例。地方の中心都市に行くと都市が間延びしていて、人口に対して機能が分散している。本当はSDGsに大変関係した問題だが、なかなか結びつかない。本当は今日の気候変動とも結びついている。都市が外化していると移動に車を使うので、二酸化炭素排出が増えてしまう。公共交通機関が発達していれば解決できる。こういった問題の解決で、実は一気にSDGsの目標を達成できる。本当は生活に直結したSDGsを語れる場なのに、こういった議論はほとんど聞かない。大企業はSDGsと関連付けマテリアリティ評価を始めている。FoE等が発表している情報はコンサルティング会社なら数千万単位で投入しなければ得られないもので、とても大切な情報。現地で開発を進める人は現地の声を知らず本当に善意でやっていたりする。こういった情報を伝えていく機会を持つのは、NGOの大切な仕事だと思う。

 

(レポートの他の部分)

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2018-03-08