6月9日(水)、第3回コラボ勉強会を開催しました。今回の問いは、「日本の森はなぜ使われなくなったの?」。生態系保全、森林保全、林業に関心を持つ20名近い人にご参加いただき、一緒に考えました。
【話題提供①市瀬 拓哉さん】
森はかつての「コンビニ」
まず、いっちゃん(市瀬拓哉さん)から、自身が住む京都府京丹後市、NPO法人地球デザインスクール、株式会社andonの事業についての説明があり、「日本の森がなぜ使われなくなったのか?」「これからどうやって使っていけばいいのか?」についてお話くださりました。いっちゃんは、環境教育、キャンプ、アウトドアなどの様々な活動を通して、森に人が入り再び使われるようになるための仕組作りを行っています。
京丹後市は、京都府から車で2時間。水田と緑が広がり、一見「豊か」な自然が広がっています。しかし、近くで見ると、森には人の手が行き届いておらず、獣害や土砂崩れなどの被害に直面しているとのことです。
森はかつて「コンビニ」のような存在だった、といっちゃんは言いました。食料となる山菜類、道具を作るのに必要な竹や木材、エネルギーとなる薪や炭は、森から取ることができたのです。そんな森は、エネルギー革命(第二次大戦後の石油の普及)、輸入木材、高い搬出コストなどが原因で、どんどん使われなくなっていきました。
他産業と組む
では、どうすれば森を再び使うことができるのか?一番印象的だったのは、「他産業と組む」です。旅行業、医療と組んだ「森林浴」、造園業、森林での研修企画などなど。単に山で木を切って売るのではなく、地域にいろんな価値を生み出す「森林業」。これまでの「林業」のイメージが覆され、参加者も興味津々に聞き入っていました。
【話題提供②江口健介さん】
森林とSDGs
二人目の話題提供者は、えぐっちゃん(江口健介さん)です。森林の価値について、SDGs(持続可能な開発目標)との関連性について解説してくださいました。印象的だったのは、「森林そのもの、更にはその利活用によって、さまざまなSDGsの達成に貢献できる」という話です(※1)。健康増進、雇用創出、地方創生、炭素貯蔵による地球温暖化緩和、海に栄養分を与え豊かにする、などなど。目が開かれるような内容でした。
※1 林野庁「我が国の森林の循環利用とSDGsとの関係」https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/genjo_kadai/SDgs/sdgsimage.jpg
話題提供後のブレークアウトセッション・Q&Aでは、「どうすれば多くの人が森林に関わるようになるのか?」など、活発に感想・質問が交わされました。皆さんの関心が、大いに刺激されたようです。
2021-08-19