A SEED JAPANとオイコクレジット・ジャパンは、9月21日(土)に「社会に優しいお金の預け方-賢い市民の資産ポートフォリオとは–」をトライエッジ御茶ノ水で開催しました。
オープニングでは、お金と社会問題とのつながりについてA SEED JAPAN エコ貯金プロジェクトの田川より説明しました。私たちが参画するFair Finance Guideプロジェクトの調査等から、核兵器製造や化石燃料等の社会問題につながるお金の流れや金額等を紹介しました。
第一部は、各団体よりそれぞれの理念や取り組み、考え方をご紹介いただきました。
さわかみ投信株式会社代表取締役社長、澤上龍氏からは、年金不安や働き方の変化などを踏まえ自分自身で将来の準備すること、投資の意味をきちんと考えることが大切だとお話しいただきました。投資は、自分が共感できる企業を応援しともに歩んでいく行為であり、投資先を長期的な視点で選んでいくことがポイントだと感じました。
東京CPB(コミュニティパワーバンク)理事長の植田泉氏からは、地域や社会を良くするために市民が主役のお金の流れを作ることが必要だとお話しいただきました。「意志あるお金でNPOや市民事業を支援する」という考えには、主に主婦の方々にご共感頂き、約680名の方々が出資しているとのことです。杉並アヤックスサッカークラブ、自然環境復元協会など、地域に根差した団体を支援されており、出資先の顔が見える点はNPOバンクの魅力だと言えるでしょう。
オイコクレジット・ジャパン代表の岡本眞理子氏からは、オランダにあるオイコクレジット本部についてもご紹介いただきました。市民から資金を集めて発展途上国への社会的投資を行い、年々規模は大きくなって、総資産約13億ユーロに至っているとのことです(2019年3月31日現在)。持続・拡大し続けている理由として、マネーゲームとは無縁であるということ、すでに多くのSDGsの課題に貢献してきたということは、非常に興味深い点でした。
第二部は、登壇者によるパネルディスカッションを行いました。印象的だった話を3点ご紹介します。
まず、「社会を良くするなお金の流れ」を考えた際、長期的な目線が必要になるということです。
なぜなら、短期的な利益を上げるための対処療法だと効果は出やすいですが持続性に欠け、社会の全体最適を考えた包括的なビジョン達成は1日2日でできるものではなく時間がかかるからです。澤上社長からは「結果的には成績、数字が全てだが、企業の本質、経営ビジョンを見極め、5年10年先を見据えて向き合うことが本来の『投資』ではないか」とお話しいただきました。
次に、金融に関する教育面での取り組み不足についても話題になりました。植田理事長からは、「近年は過度に個人主義が強くなり、全て自分で考え解決しないといけないという風潮がある。社会や地域のためにお金を使うという経験が日本では少ない。」とお話しいただきました。
最後に、個人が資産形成をしていくにあたり、分かりやすい方法を交えてアドバイス頂きました。自分の収入と支出をしっかりと把握するために澤上氏がお話したのは、手元に3カ月分のレシートを集め、無駄だと思ったものはやめる、必要なものは取っておく、と判断する方法です。植田氏も同様に、「人によって大切なものは違う、自分にとって何が大切なのかを判断することが重要だ。」と仰っていました。
岡本氏からは、「失業しても当分生きていける貯蓄をまず築いたら、その後は、それを超える部分を投資や社会的貢献にまわしてほしい」とのことでした。
今回のイベントを通して、お金が流れるとはどういうことかというシンプルな問いから、お金が流れるその先を更に考えること、お金に思いを乗せることの大切さを登壇者の皆様からお話しいただきました。
自分のお金が、応援したい人や組織の力になって社会が良くなったり価値が上がったりすれば、嬉しいですし一石二鳥ですよね。ご参加いただいた皆様がこれからお金と向き合っていくにあたり、ぜひ参考にしていただきたい内容がぎっしり詰まったイベントとなりました。
ご登壇者の皆様、ご参加頂いた皆様、どうもありがとうございました!
このセミナーは、地球環境基金助成金を受けて開催しております。
2019-10-23