Section 2 “3つのPの原則” – 1. 内容(Program)

内容を考えるにあたり、考慮するべき点は5つあります。

1)目的の明確化
2)聴衆の分析
3)プレゼンテーションの構成の作成
4)結論の位置
5)始め方と終わり方

1)目的の明確化

プレゼンテーションで何を一番伝えたいのか、何のためにプレゼンテーションをするのかを、まず最初に短い文章に書き出しておきましょう。
例えば、「オゾン層の破壊に日本が大きく荷担してきたことを聞き手に知ってもらうこと」など、目的を明確にします。
目的が分かっているようでも、考えがいきづまったり、複数の考えが出てきたりすると本来のプレゼンテーションの目的を忘れがちです。
紙に目的を書き出し、整理することで、プレゼンテーションが脇道にそれたりすることを防げます。

2)聴衆の分析

プレゼンテーションをする時、聞き手に合わせて内容を変える必要があります。例えば幼い子どもを持つ親がたくさん参加している会場では、今後の世界情勢の話より、子どものことを例にした話の方が聞き入れられやすいかもしれません。 では具体的に聞き手の何を知る必要があるのでしょうか? 以下の3点について分析してみましょう。

知識レベル

話す内容について、聞き手がどこまでの知識を持っているのかということです。もしあまり知らないようであれば、専門用語や略語、英語の多用を避けるべきです。聴衆に応じてどのような説明が適切か考えてみましょう。

態度

場面によってその雰囲気や聞き手の態度は違います。やる気のある聞き手なのか、或いは否定的な聞き手なのかという具合に、大体どんな人が聞いているのかをあらかじめ知っておきましょう。もし、否定的な人が多くても、事前に心構えができていれば、当日あわてずにすみます。

興味の対象

聞き手はどんなことに関心があるのかを知りましょう。例えば、幼い子どもを持つ親にとっての最大の関心事は子どもの成長でしょう。だとすれば話題の切り口として、子どもの話と関連して話せばより聞き手の関心をひくことができます。聞き手の興味の対象に応じて、どんな実例・証拠を出したら反応があるのかを考え、プレゼンテーションの中身を考えましょう。

3)プレゼンテーションの構成

本人が一生懸命に話していても「いまいち話しがわかりにくい」と言われてしまうことがあります。それはなぜでしょうか?
いろんな原因が考えられますが、最も大きな原因は、話すべき内容がきちんと整理されていないせいです。自分は何を伝えたくて、そのためには具体例や、自分がそう思う理由などをいつ、どんなタイミングで言えばよいのかという具合に、プレゼンテーションの全体の流れ、つまり骨組みをはっきりさせる必要があります。
そのためには言いたいことを、一つひとつ紙に書き出してみましょう。そしてどの順序で話したらいいのかを、与えられた時間内に表現できるよう、構成しましょう。

4)結論の位置

プレゼンテーションの展開順序には、先に結論を言う方法と、結論を後にいう方法の2つがあります。 結論を先に言うことのメリットは、聞き手にとって話を聞く心構えができることです。「今日は○○は××だということについて話します」と言ってから、本論で経過・理由・説明・例など詳細を話し、最後にもう一度「今日は○○は××だということについて話しました」と言うといいでしょう。

また、結論を後に言った方がいい場合もあります。たとえば、推理小説は犯人が終わりまでわからないからこそ楽しめるものです。それと同様に、相手を説得したい場合には、結論を先にしない方が望ましいといえます。それから、目の前にいる人に対して反対意見を話さなければならない場面では、はじめから「私はあなたに反対します。」というのではなく、まず理由をきちんと説明し、「こういう訳で反対です」と最後に言った方が、お互い感情的にならずに済むでしょう。少なくとも最後まで話を聞いてもらうことができます。

プレゼンテーションの内容に合わせて、結論をいつ言うかを検討しましょう。

5)始め方と終わり方

「人の第一印象は最初の4分間で決まる」と言われています。つまり最初の導入部分で聞き手に好感をもってもらうかどうかが、プレゼンテーションの行方に大きく影響するといっても過言ではありません。そのためには次の3つが重要です。

1.聞き手に発表者(自分)を受け入れてもらう。

2.発表者が誰であるかを明確にし(自己紹介し)、そのテーマについて自分に話す理由・資格があることを聞き手に示す。

3.今日のテーマについて聞き手に関心をもたせ、これから話す内容に興味をもってもらう。

1と3については、Section 3の人柄(Peasonality)のところを参照してください。ここでは2について、いくつかの具体的な方法を挙げてみます。
まず、自己紹介や一般的な挨拶の後にはこんな方法で話し始めましょう。

事実提示法

「ある新聞社が昨年の末にまとめたアンケートの結果によると、今一番注目している社会問題は環境問題だ、と考える人の割合が80%以上だそうです」というように、事実や数字を具体的に示すと話に緊張感が生まれ、聞き手の注意を保てます。

エピソード法

「きのう新宿で買い物をしていて、変わった物を見つけたのですが…」と具体的な実例や体験談を話す方法です。自分の体験したことなので、気張らず自分らしく話せ、聞き手にも親しみがわきやすくなります。

質問法

「粗大ごみの冷蔵庫からフロンガスを回収している自治体は、今いくつあるか知ってますか?」なんていう具合に、聞き手に質問をなげかけて考えてもらうと、聞き手とコミュニケーションできます。

ユーモア法

ジョークを言って場を和ませることもできますが、ウケないこともありますので注意しましょう。

 

これらの方法は、導入で使うのはもちろん、プレゼンテーションの中でもうまくつかえれば、メリハリのあるプレゼンテーションになるでしょう。

また、終わり方も大切です。「終わりよければ全てよし」という言葉は、プレゼンテーションにも当てはまるのです。以下の点に注意して、スマートに終了できるように準備しておきましょう。

時間が余っても、ダラダラ話さない。

時間が足りない時のために、あらかじめ終わりの言葉を用意しておき、話の中身がいつでも簡略できるようにしておく。

イントロの時に主題や終了時間を示しておく。

プレゼンテーションの終了後に聞き手のみなさんにどう行動してもらいたいのか明確に示しておく。

以上が内容(Program)でのポイントです。

 

Column プレゼンテーションの内容の工夫

話をする時、以下のように工夫すると、より印象的なプレゼンテーションができるでしょう。

イ)キーワードをつくる

「ゴミを削減するには3Rという方法があります。それはReduce(減らす・買わない)・Reuse(繰り返し使う)・Recycle(再利用する)です。」なんて言うことがあります。このように、わかりやすい合言葉・キーワードを作ると覚えやすいです。

ロ)欠点を長所に変える

「背は高くないけどかっこいいね」と言うと褒め言葉ですが、「かっこいいけど背が低いね」と言うと、けなしたように聞こえます。「下手→得意でない」「太っている→ふくよかだ」など、言葉を選ぶことも大切です。

ハ)参加・選択を与える

プレゼンテーションの中で聞き手に意見を求めたり、質問などを加えて聞き手にも参加してもらうと、聞き手との一体感が生まれ、予想以上の良い意見が出るかもしれません。