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スウェーデンツアー報告会レポート
2018年10月14日@A SEED JAPAN事務所
10月14日の午後、A SEED JAPAN事務所にて、
元A SEED JAPAN活動会員・現マンスリーサポーターのかねこまみさん(まみやん)による、北欧スウェーデンへのスタディツアーの報告会を開催しました。
A SEED JAPAN内外から10名の方々が集まり、スウェーデンの製品や人々の生活の紹介を通して、お話のあちこちに散りばめられた、持続可能な暮らしへのヒントを一緒に考えました。
A SEED JAPANでは学生時代に広報チームを立ち上げ、広報の面から活動をサポート。
現在はひとしずく株式会社にて、ソーシャルグッド専門のPR事業に携わっています。
スウェーデンツアーも、同社の研修として参加。さて、どんな発見があったのでしょうか?
「スウェーデンで感じたことは、本当に「持続可能な暮らしは実現可能だ」ということ」と語るまみやん。今回は、主に日本へ応用可能な事例を紹介してくださいました。
スウェーデンといえば、イケア、ボルボ、H&M、スカイプ、ノーベル賞、それに歌手のアバなどが有名ですね。
人口は日本の1/10ほどで1,000万人。
その中でも今回訪れた地域は、マルメ市(人口30万人ほど)とゴットランド島(人口6万人ほど)。
ツアーのコンダクターは、ペオ・エクベリ氏、エクベリ・聡子氏。持続可能な発展にむけた先進国と途上国のパートナーシップづくりを行うことを目的として「ワンプラネット・カフェ社」を立ち上げ、コンサルティング、フェアトレード商品や住まいづくりの共同開発、アフリカ・インド・スウェーデンの視察(研修)ツアーやエコツアーなどを実施しています。ペオさんは日本語にも精通。
SDGs基準で見たとき、CO2削減量が大幅に大きいだけでなく、
電力グリーンエネルギー65%、
家庭ごみのリサイクル率99%!など驚きの数値なのです。
男女平等に関しては、国務大臣の1/2が女性という数字も、
日本にとっては驚異的な数字に見えるかもしれません。
さぁ、主にサステナビリティの部分を詳しく見ていきましょう。
・バスはほとんどがバイオマス。
・生ごみ回収ポストは面白い仕組みで、住民限定のカギが設けてあり、筒形になっています。そこからなんと地下にゴミが流れ、一か所に集め、いっぺんにバキュームカーが回収するという仕組み。長い距離を回る必要がなくなります。
・coop=スーパーマーケット(日本でいうと、イオンみたいなもの。生協のcoopではありません)の営業車もバイオガス仕様。フェアトレード商品や環境に優しい商品が一目瞭然でわかる工夫もしてあります。
・航空会社では、飛行機もバイオマスで飛ばそうと企画していたり…レインボーの旗を掲げている!LGBTのこともしっかり考えていることをアピールしているのです。
▲バイオガスのスタンドと、生ごみ回収ポスト。
自治体の役所では朝9:30から「フィーカ」タイムがあり、職員がリラックスして仕事のコミュニケーションを取れるようになっています。「フィーカ」とは、「お茶をする」といった意味で使われます。
他に驚いたのは、職員の健康への配慮として、通路などにフルーツが置かれていること。
まず、エコラベルが相当普及しています。
歯ブラシは柄が木製になっていたり…
薬局でもエコ配慮コーナーが用意されており、
ビーガン用のクリームも販売されています!
フェアトレードバナナはスウェーデン国内で消費者からの猛烈な要求があり、販売されるようになったとか。
冷凍食品にもエコラベルがついているものがあるので探してみると結構見つかります。
マックでもビーガン料理が用意されています。レストランでビーガンメニューがあったり、「hot/mild」の記載と同列に「eco」アイコンがあったりするのはスウェーデンならではでしょうか?
よく、ホテルのドアノブに掛ける「シーツ取り換え不要」タグ。
パイクという希少な魚のモチーフが、タグ(ホテル)に使われているのです。どういう意味かというと…
⇒シーツを取り替えない⇒水が汚れない⇒パイクが保護される!
というメッセージだそうです。素敵!
また、ホテルには、アメニティは基本用意されていません。
滞在した朝食の50%がオーガニック料理でした。
そしてさらに驚くのが、ユニットバスには「タオルを下におかないで」とのメッセージが。なぜかと言うと、ホテルの清掃スタッフが、何部屋分も腰を曲げて床のタオルを拾い上げると、腰の疾患になってしまうからです。この背景には、スウェーデンの税率が非常に高いため、「国民の健康維持=医療費削減につながる」という実感が身をもって感じられる…つまり国民もこれに共感していることが挙げられます。
こう考えると非常にシビアであり、合理的な考え方とも言えますね。
スウェーデンは自転車文化が発達しています。
簡単に表現すると、
自転車>人>自動車!
駐輪場が駐車場よりも中心地に近い場所に設置されていたり、車に不便な街づくりをしているのです。
SDGsケーキを知っていますか?生物多様性が生み出す生態系サービスとSDGsの位置付けを表わした図です。17の目標のうち、生態系サービスに関わる下記の4つの目標がベースとなって、「社会と経済」を支えているという考え方です。
生命の根源である水の保全(目標6)
気候変動(目標14)
海の生態系(目標15)
陸の生態系(目標16)
スウェーデンはこの考え方をしっかり軸に据えているのです。
社会背景としては、酸性雨問題、オイルショック、車産業の衰退などにより、まさに発想の転換が求められていました。国王からも環境問題への取り組みをうながす発言があったのも、大きなインパクトを呼びました。
「エコ=ムリ・ガマン」から、「エコ=快適さ、自立、余白」といった発想の転換です。
また、もう一つの特徴としては、自治体が自律的に環境政策の中心を担っているということです。
市民の9割が市民活動に参加しているとも言われています。民主主義や地域主体を大切にした結果、政策が実効性を伴い、うまくいっているともいえます。
後半は、お話を受けて「持続可能な社会に向けてできること」を参加者自身が考え発表する時間も設けられ、様々な議論を行いました。
早寝早起きをする。
地域の特産品を買う
地域の居酒屋に行く
地域貢献イベントに参加する企業を増やす
様々なものをシェアする
選挙制度を学ぶ
人の話を聞く(環境問題への関心の度合いなどを理解する)
人前で環境に配慮した行動をして、評価される仕組みを
エコに関する相談窓口(ほけんの窓口的なもの)を設けたい!
…といった個人でもできるアクションの提案から、政策的なものまで。
たとえば
環境研究への助成を増進する
企業への課税制度(環境スコア)
自治体の発信力の強化、市民の情報受容力の強化
林間学校などをもっと増やす
エコラベルなどの普及率の促進
子供を大切にする(スウェーデンは待機児童0人)
学校給食に地域有機野菜の取入れを
デポジット制の導入を
自治体レベルでの包括的な施策・政策を
ビーガンとベジタリアン向け食品の表記をすすめたい(デミタリアンという言葉がある!)。
幼稚園から環境教育を行う
ASJ内でもSDGS目標を…!
…などなど、アイデアや話は尽きませんでした。
まみやん、今回このような場にお越しいただき、本当にありがとうございました!
A SEED JAPANにはほかにも素敵なOB・OGに支えられています。
「こんな話を聞いてみたい」という発案があれば、OB・OGが協力してくれる…かも?お楽しみに!
(A SEED JAPAN事務局)