ESGウォッシュは、投資やビジネス活動において、環境(Environmental)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の持続可能性への配慮を装ったり誇張したりする行為を指します。例えば、ESGファンドの定義が明確でない、組み入れ銘柄が十分に開示されていない、ESG投資を扱っていながらESG専門人材がいないといった状況です。
気候変動に関するESGウォッシュ事例を一部紹介します。
- 気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)において採択されたパリ協定では「世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持。1.5℃に抑える努力を追求」することが世界で合意されました。そのために2050年までに二酸化炭素のネットゼロを達成する必要がありますが、ネットゼロとはかけ離れた気温上昇シナリオの元組成されたファンドであること。
- 科学的に「カーボンニュートラルではない」とされている大規模輸入木質バイオマス発電が「脱炭素」としてESG投資信託の投資対象になっていること。
投資家は、企業のESG実践を評価するために多様で信頼性のある情報源を活用し、企業は透明性と説明責任を重視し、ESGに関する正確な情報を提供し、ESGに対する真のコミットメントと実施が必要です。私たち市民はESGウォッシュの存在を認識し、本物のESG実践を推進するためにウォッシュを見抜く目を磨き、ウォッシュを取り除く意志を示すことが必要です。
参考文献
ThinkESG,「世界の投資ファンド、運用資産の1.3%がパリ協定に整合」(2023)
https://thinkesg.jp/clarityai_financemap2023/
欧州委員会 “The use of woody biomass for energy production in the EU”(2021)
https://publications.jrc.ec.europa.eu/repository/handle/JRC122719
私たちのお金が環境・社会に与える影響(日本の年金運用基金/銀行への株主提案)
日本の年金運用基金のESG投資について 日本の金融機関で最初に責任投資原則(PRI)に署名したのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という、私たち国民の年金積立…
この記事を書いた人
はまこう