パサール銅精錬プロジェクト
最終更新日
概要
銅を精錬するプロジェクト。精錬の過程で大気汚染や海水汚染を引き起こし、地域社会に影響を与えた。
場所
フィリピン、レイテ島、イザベル町
開発主体
丸紅(16%)、住友商事(9.6%)、伊藤忠(6.4%)、フィリピン開発公社などによる合弁企業、PASAR。

※なお、日本輸出入銀行(現JBIC)の融資のもと、パサールプラントは丸紅が受注し、三井金属鉱業、古川鉱業がプラントのデザイン、建設を請け負った。
経緯
1983年に操業を開始、2003年時点でも操業は続いている。1980年代後半には「公害輸出の典型例」として批判され、地元での抗議運動が展開されたが、雇用創出などの受益の影響もあり、現在は運動は沈静化している。
問題点

・大気汚染(工場からの排煙、植物の変色や枯死、健康被害)

・海水汚染(変色、臭気、ココヤシ・マングローブの枯死、漁獲量 の激減、極めて強い酸)

・地域社会への負荷(生業の喪失、漁業者による生業の喪失)

・日本企業による不充分な対策(古川鉱業…足尾銅山鉱毒事件の原因企業、三井金属鉱業…イタイイタイ病の原因企業。公害の経験がありながら、事前のアセスメントを怠った)

・排水浄化装置の不使用(コスト削減のための会社の判断による)

・ダブルスタンダード(日本では必ず使用する排煙脱硫装置の不使用。フィリピンでの緩い排出基準に合わせた措置)

・社会的弱者への負荷のしわ寄せ(雇用される者が利益を得、運動を沈静化に導く一方、雇用されない者は被害のみを被っている))

出典

京大ユニセフクラブ「公害輸出と多国籍企業の進出」
http://www.jca.apc.org/unicefclub/research/92_kougai/kougai_2.htm

平岡義和「途上国への公害移転」『差別 と環境問題の社会学』新曜社,2003年

日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会編『日本の公害輸出と環境破壊』日本評論社,1991年

調査日:2003年6月28日

 
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