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環境NGOで開発被害問題に取り組む
 
NGOといっても、それぞれの団体が抱えているイシューは様々。今回は、開発が途上国の人々に与える影響の監視と政策提言に取り組む松本郁子さんにお話を伺った。

【松本郁子さん】
FoE Japan開発金融と環境プログラムスタッフ。大学卒業後、大手スーパーに就職するが、大量生産・大量消費の現状に疑問を抱き、NGO活動に関わり始める。現在は、日本政府・日本企業の資金が、途上国での環境破壊や人権侵害に使われないように調査研究・政策提言活動に取り組んでいる。

 
 

昼間は大手スーパーの果物担当として世界中から輸入されるオレンジ、バナナを売る立場の人間。夜は環境NGOで1994年に行われた多国籍企業キャンペーンで、グローバリゼーション反対!と声をあげるボランティア。本当にドラマみたいな状況を地でいく松本さんがNGOの世界と出会ったのは、就職してからのことだ。

1991年、環境NGO、A SEED JAPANが主催の合宿に参加して驚いた。若者が夜を徹して、教育が、市民が、社会システムが、と熱く語り合っているのだ。そこに通 じ合うものを感じた松本さんは関西を拠点に活動をはじめる。

アシード関西、子どもの権利センターなど。一つに専念しなかったことには関西のNGO業界の性格と関係している。東京の団体の多くは専従スタッフがいて、腰を据えて活動しているが、関西は支部が多く働きながら事務所も回している、という団体が多いのだ。そのため、一つのプロジェクトに参加すると、他団体から次はこのキャンペーンの手伝い、というように様々な分野の団体と知り合い、一緒に活動するようになっていった。そして先の大手スーパーと多国籍企業キャンペーンに専念した。

はじめはASJ関西の事務所スペースを提供していたシンクタンクに就職。COP3の時期には当時の気候フォーラムの事務所で一年フルタイムで働いている。この仕事が終わったら大学で勉強したいと思っていると、次の話がくるそうだ。NGOは定期採用ではなく、あきが出たら人を探す。いろいろなところで活躍していた松本さんだから口コミで次々に仕事がきたのだろう。

今は地球の友ジャパン(当時。現FoE Japan。http://www.foejapan.org/)で、開発金融分野の政策提言や、国際協力銀行の環境ガイドラインの策定をしている。今の仕事に満足していますか?との問いに、「満足しています。」と答える。現在仕事をしている人の中でこうはっきりと言いきれる人が何人いるのだろうか?

「社会に出ると、その組織の中で自分を見失ってしまう。自分の軸は変えずに自分の世界をどんなときでも持っていることが大切」

現状の捉え方と、これからの見通 しがとても前向きで感じがよかったのが印象に残っている。

聞き手・文:藤長展子