■ダムを止めた村
巨大なダムを2000人の小さな村が止めたこと。「一度決めたら止まらない」といわれた建設省の公共事業が止まったのだ。20世紀、経済効率を重視し、川をコンクリートで埋め、森を切り崩してきた。そして残ったのはヘドロで濁った川と荒れ果
てた森林。そんな開発に木頭村は「NO」を言い、巨大開発に頼らない社会を目指した。そんな村に都会から多くの若者が集まっている。
■東京から木頭村へ
「1999年の夏、東京、お茶の水の草分け的エコロジーショップであるGAIAで働いていた頃、木頭村の商品を扱ってくれという話が来たんです。そして木頭村へのバスツアーを企画。それがきっかけで『きとうむら』で働く事となったのです。この会社は立ち上げてからまだ5年なのでこっちの方が忙しいし楽しい!」
■きとうむらのこれまで・これから
木頭村の名産品はゆず。木頭ゆずの多くは、ゆずだまとしてそのまま全国各地へ出荷される。一方、村の名産品を軸になんとか木頭村の産業を作りたいという想いから作られたのが、村の第三セクター「きとうむら」である。
「きとうむら」の目玉
商品は、木頭村の最大の特徴である清流の水、木頭ゆず、大豆である。ゆずジャムや、木頭村でとれたはちみつ、オーガニックショコラケーキ、大豆ケーキ、おからクッキーなど、どれも都会では味わえないような、素朴で健康に良い手作り商品ばかりだ。お店には石鹸や炭、アロマオイルなど健康志向商品なども数多くあり、通
販やインターネットで買える仕組みになっている。
一時は人気があった「木頭杉」についてたずねたところ、下記のような答えが返ってきた。
「日本全体で林業が厳しい状況におかれていて、全く採算が合わないのだけれど、出荷されているんです。たいしたお金にはならなくても、お金にかえていくほかないんですよね」
「まずは経営を黒字にしないと。よく木頭村を訪れる人達はアイデアを言ってくれるんだけどね。実際にはなかなかそううまくは行かない事も多いんですよ」
文: 田辺有輝
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