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市民のためのメディアを創る!
 
NGOには貴重な情報が溢れているのに、一般の市民がそうした情報にアクセスする機会はあまりない。もっとNGOの情報が世間にでれば、社会は変わるのでは?今回は市民のためのメディア創りに取り組む後藤隆さんにお話を伺った。

【後藤隆さん】
フリーのコンテンツライター、編集者として働く傍ら、ViVa!ボランティアネットのコンテンツマネージャー(編集長)や、オーフス・ネット事務局次長を務める。

 
 
 

「これから環境の仕事を志す人は、体力や気力が許す限りチャレンジすべき。そして、一度始めたら途中で投げ出さないこと。後戻りすると取り返すのが大変だし、人生いつ何があるか分からないからね」法律事務所で働きながら、市民メディアの運営やNGO/NPO研究、サポートをしている後藤さんの言葉は、本人いわく「反面 教師」としてのアドバイス。今の仕事に出会うまで、生き方を主体的に選んでこなかったため、後戻りを繰り返してきたと痛感しているからだ。

大学で将来の目標や目的を見出せず、文学サークルやレストランでのバイトに打ち込んだ。就職活動にも身が入らなかったある日、「なぜ環境法がないんだろう」と疑問を持ったのがきっかけで環境問題に興味を持つ。「さまざまな環境の分野をつなぐインターフェースになりたい」と独学で勉強を続け、公害防止主任管理者の資格を取得。環境関係の計量 証明会社に入社した。提案型営業や現場のヘルプの一方で、CIや社内報の編集も行ったが、営業のメイン業務は「談合」。「環境にこだわるよりも、まっとうな仕事がしたい」と離職し、フリーター生活の後、建設資材販売の外資系企業に。売り上げや顧客開拓のノルマは厳しかったが、優秀な製品でお客さんにも可愛がられた。しかし、会社が販売一辺倒に180度転換。「どうせ苦労するなら環境の仕事で」と、環境専門の出版社に転職した。

営業を経て記者になり、廃棄物やリサイクル、ISOなどを中心に多くの記事を書いたが、COP3派遣の直前に病が彼を襲う。胆嚢に腫瘍ができ、2カ月の入院、手術を経た後の体重は40kg。「人生ゲームオーバーかな、と思った」

退院後座業が多い編集になり、環境法の専門書の本の発行や大手企業の環境サイト立ち上げへの協力、ニュース配信、雑誌編集などに携わった後、同じ会社の福祉専門紙の記者に配属された。福祉や介護、医療などの分野は環境との接点は無く、未知の分野に初めは戸惑ったが、「環境という狭い視点だけでものを見なくなった」ことや、医療や福祉関係のNPOとの交流も増えるなど、プライベートでもプラス面 は大きかった。

というのも、後藤さんはNGOやNPOの研究や交流を目的としたメーリングリストを主宰しているほか、NPO法人JCAFEが運営している「ViVa!ボランティアネット」 http://www.viva.ne.jp/  と、サイトに連動したメールマガジンの編集を手がけている。2003年にフリーになってからは、サラリーマン時代と違って、ある程度好きな時間にNGO/NPO活動ができるようになった。しかし、それだけにルーズになりがちで、自己管理が最大の課題だとか。

「ぼくに言わせれば、あらゆるNGO/NPOはそれ自体が『メディア』。日本の環境や公共事業を始めとするさまざまな社会問題の根っこには、市民の『知る権利』や『選択する権利』などの基本的な権利がないがしろにされていることがある。そこを見据えながら、NGO/NPOが主語の情報、NGO/NPOの役に立つ情報を収集して、読み解いて、提供することで、さまざまな人や団体の思いや可能性をより多くの人に知ってもらい、社会の中で実現していくためのサポートをしていきたい」と話す。 

リンク:ViVa!ボランティアネット http://www.viva.ne.jp/

聞き手・文:エコナビ編集部