「・・・多分、これからはどうなるかというと、みんなはずっと組織を拠り所にしてきたんだけど、『ワタクシ』を拠り所にすると思う。僕は、『おれはこう思う』と、最近言うように心がけてて、基本的には『僕がどう思うか』ということを大事にしてきている。それが人間の自立だと思うよ」
マーキーの口調には自信が表れていた。それは彼の活動経験の豊富さ、常に学ぼうとする姿勢の結果
だと、それが自然に感じられた。
マーキーが環境NGO、ASJに出会ったのは1995年、大学2年生の時。阪神大震災のボランティアに参加し、そして大学での環境活動のなかから耳にしていたASJに入る。
当時、実践的な市民活動のノウハウを学生に提供していたチーム「リーダーシップトレーニング」でファシリテーターをすることで、現在のプロフェッショナル意識への転換期になった。そのままNGO・NPOトレーニングを職として、POWERというNPOで働く。しかし、次第にマニュアル通
りでない活動に魅力を感じるようになってきた。
「マニュアルがあるから応用があるんだよ。料理を作るときもそうで、料理本に書いてあるとおりに一回やってから自分流というのがあるんだよね。原理原則が大事な時期は一回きちっとマニュアルどおりやるっていうのが大事だと思う。POWERでマニュアルやってる時のはじめのころはすごい楽しかったよ。それをやり始めると段々応用料理をしたくなるわけじゃん」
2年近く前から、生活者のための企画・プロデュースを手がけるワークショップ・ミューでも働き始める。
「おれが居る企画の部門はなんでもやる。特に過去にやったことないことに挑戦する。楽しいね。日本の中で誰もやったことないから前例がないんだよ」
洗練された雰囲気を感じさせる仕事場は、この職業のクリエイティブさをにおわせる。いくつかの企画の仕事で彼の予定は2年先まで決まっているそうだ。しばらくはこの仕事で自分を磨いていくのだろうな。
「これからのNGOはどうあるべきだと思う?」と質問した。
「成果がないとだめ、これからは。結構NGOにとっては厳しい言い方だけど、周りの人は『それで、結局何か変わったの?』って言うところで評価するしかないよね。今までは考えてるだけでえらかったんだよ。『ああそのことも考えてるの、えらいわね』って。これからは、人も金も入ってきて、みんなもボランティアに来て、助成金ももらって、『で、なんかやったの』っていうのが問われはじめてくる」
常に実践で学び、経験を自信に変えてきたマーキーのプロフェッショナルな考え方が如実にあらわれた答えに感じた。
聞き手・文:伊藤陽子
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