山梨県白州町への現地調査 報告 vol. 5: 続・白州の涵養林の実態
2011-01-16 | カテゴリー:現地調査報告 | キーワード:ボトルウォーター, 地下水, 水問題, 水道, 過剰取水
前回の続き…
白州の涵養林の実態
今回の記事では、サントリーの持つ涵養林の現状を、清水さんのお話も交えながらお伝えします。
これは、私たちが実際に撮影した、サントリーの持つ水源涵養林の写真です。
これが白州町においてサントリーが行っている水源涵養活動の現状です。
「涵養林」というより「放置林」と言うべき状態でしょう。
間伐された木々はそのまま放置され、運び出されることはありません。
間伐材を放置することは、単に木材の有効利用という点で問題があるだけではなく、立ち木を変色させる害虫であるキバチの繁殖を招いたり、豪雨の際に、放置された間伐材が大量の流木と化し、川をせき止めて麓の浸水被害を拡大させるといった問題を引き起こす危険性もあります。
※キバチ類によるスギ・ヒノキの害
<http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070109/news/006/news48_2.htm>
※流木による浸水被害の拡大
<http://www.kobe-np.co.jp/rentoku/shakai/gou09/0002323075.shtml>
さらに、この写真のちょうど反対側には、サントリーが植樹を行った区画がありました。
緑のネットに覆われている木々が、サントリーにより植樹された木々だそうです。
清水さんによると、植樹された木は、カラマツという種。
カラマツは、日本の天然林に多く見られるブナに比べると、その保水能力は数分の一とかなり低く、水源を涵養する目的で植樹を行うならば、カラマツは明らかにその目的には適していないと言えます。
また、私たちが足を運んだ白州町の水源林一帯は、花崗岩という岩石でその地形が構成されています。
白州の森に降り注いだ雨が、この花崗岩でできた地層を通過していくことで少しずつ濾過され、水質の良い地下水となって地下に蓄えられていくのです。
しかし、この花崗岩、温度差の大きい地域では風化して、もろく崩れやすくなるという性質を持っており、豪雨などにより崩壊しやすいと言われています 。
※豪雨災害の原因
<http://blog.livedoor.jp/rokuten1/archives/50885475.html>
このような地質を持つ白州の水源林に、保水能力の低いカラマツを植樹して人工林を拡大していくことは、果たして本当に「涵養」活動と言えるのでしょうか。
本当にこの水源林を守りたいのならば、ブナなどの保水能力の高い木々をたたえていた元々の天然林を保全していくべきなのではないでしょうか。
さらに、立っている木々のうちのいくつかに赤い印がついていたので、
『この赤い印はなんですか?』
と清水さんに聞いてみたところ、
『次に間伐する木々に印をつけているんだよ。』
とのこと。
サントリーは、この杜撰な水源涵養活動をこれからも続けていくようです。