山梨県白州町への現地調査 報告 vol. 2: 小川さんへの工場の対応
2010-12-27 | カテゴリー:現地調査報告 | キーワード:ボトルウォーター, 地下水, 水問題, 水道, 過剰取水
現地調査二日目
「これが掘られた井戸です。今は閉められています。」
閉じられた井戸の写真
2008年、小川さんの別荘にサントリー白州工場から井戸掘削同意書が送られてきました。
そこには、「工場内の古くなった井戸を更新するため、小川さん宅の近くの土地に新たな井戸を掘削したい」ということが記されていました。また、「一日の平均採取量及び使用量は432立方メートルに及ぶ」という情報も含まれていました。
「古い井戸の更新なら、なぜその井戸のすぐ近くに掘削しないのか。また、こんなに大量の水を毎日採取し続け、水源に影響は生じないのか」、と小川さんは不安に思いました。
実は、小川さんのご近所の方の井戸水はサントリー白州工場が稼働し始めた翌年から突然濁り出していました。(前号のブログとは異なる方です)ご近所の方は幾度かサントリーの社員と話し合いましたが、社員から難しい専門用語で井戸の説明をされ、うやむやになったまま月日が過ぎていました。小川さんも生活用水として井戸水をくみ上げていますが、今のところ被害はまだ受けていません。
そこで小川さんは、工場の新井戸からの取水によって近隣住民の井戸の水質や水量に被害が出た場合は、工場が無償で新たな水道を施設すること、という内容の覚書を提出しました。しかし、工場からの返信は散々なものでした。返ってきたものは、水量や水質に「著しい」変化が生じ、その変化と工場の取水の「因果関係が立証された」場合に、対象井戸の保有者と話し合い解決策を見出す、と記されたものでした。小川さんは再考を求めましたが、それ以来、覚書に関する連絡は来なくなりました。また、小川さんが工場とのやり取りをすべてブログに書いていることを知ると、工場はブログの削除と口頭でのやり取りを求めるようになりました。
現在、工場は「既存の井戸から十分な水量を得ている」と言い、小川さん宅近くの井戸には蓋が閉められています。しかし、いつ再びこの井戸が使用されるかは、誰にもわかりません。
生命の源である水を大量に取水して利益を得ている企業は、誰よりも近隣住民に配慮をして、生態系の保全に力を注ぐべきです。しかし、小川さんと工場とのやり取りから見えてきたのは、あまりにも不誠実な企業の姿でした。少しずつ見えてくる現状に衝撃を受けつつ、私たちはさらなる事実を求めて、次の現地へ向かいました。
小川さんのブログ:『サントリー天然水工場(白州)との井戸水問題・他:白州の森』