山梨県白州町への現地調査 報告 vol.1: 藪内さん宅の濁った井戸水
2010-12-07 | カテゴリー:現地調査報告 | キーワード:ボトルウォーター, 地下水, 水問題, 水道
※前回の記事はコチラ
「ほら、東京の水よりやわらかい気がしませんか?」
曇り空から差し込む薄日にコップをかざしてから、クリアな水を喉に流し込んだ。
「うん、そうかもしれません。」
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白州町と東京に家を持つ薮内さん。髪を洗ったあとのぱさつきから、白州町の水の良さを体感しているそうです。でも数年前、敷地内に掘ってある井戸から茶色の水が突然あふれてきました。彼は井戸水を生活用水として使っていたためしばらくは近隣のみちの駅に水を汲みに行っていたそうですが、その後は鉄除去装置を取り付けました。
目と鼻の先にあるサントリーの取水工場にも問い合わせましたが、調査をしに来た企業の専門家は難解な専門用語ばかりを使って地下水の構造を説明し、最後には「工場の影響によって井戸水が濁ったとは実証はできないので・・・」と言いました。
「いいとも言えないし、悪いとも言えない、と思っています。」薮内さんにサントリー社の対応を聞いたとき、このような答えが返ってきました。地下水の構造は複雑なため、工場と井戸水の因果関係を証明するのは安易なことではありません。
薮内さんの敷地の向かいには、彼の父が描いた動物画を展示してある「薮内正幸美術館」が建っています。この美術館は、動物画が1973年にサントリー社の「愛鳥キャンペーン新聞広告」で朝日広告賞を受賞したため、サントリー社の資金で建設されました。また、この動物画はサントリー社のペットボトルの天然水のラベルにも起用されています。日本唯一の動物画専門と銘うたれたの美術館には愛らしい動物たちの絵が飾られています。その動物たちが縦横無尽に羽ばたき、跳ねまわるフィールドこそ、水があって生態系が豊かな白州町の土地なのです。
「きれいな水が飲める土地で暮らしたい」
薮内さんはそんな思いで白州町に居を構えました。
でも、現在彼はある日突然水が出なくなったらどうしよう、という不安と共に暮らしています。
きれいな水と寄り添う暮らしのための企業の役割とは何か、穏やかな時間の中で私たちは考えを巡らしました。