第2回水銀会議報告~水銀条約に向けて~
2011-02-24 | カテゴリー:水銀会議報告 | キーワード:水銀会議
こんにちは!水プロジェクトのえーちゃんです。
前回は現在世界中で起きてる水銀汚染について書きましたが、今回は水銀条約の概要と、今回の会議の模様について報告したいと思います。
まず、2013年に制定される水銀条約についてです。
前回書いたような水銀汚染が世界中で起きている中、国連環境計画(UNEP)が2001年から地球規模での水銀汚染対策について議論を始めました。
様々なことが議論され、「世界水銀プログラム」と呼ばれる水銀の報告書が発表されたり、水銀排出防止のための技術協力等を進める「水銀パートナーシッププログラム」と呼ばれる自主的プログラムが推し進められてきました。
その結果2009年には、2013年までに水銀に関する法的拘束力のある文書の策定や、その準備のために2010年から5回の政府間交渉委員会の開催が決定されました。
その第1回政府間交渉委員会、別名INC1はスウェーデンのストックフォルムで開催されました。INC1では議長と議長団(ビューロー)の選出、それから条約の目的や討議される内容が決まりました。具体的な条約の内容についての議論はINC2からとなりました。
次に、今回千葉で開催されたINC2について報告します。
1月24日から28日には幕張メッセの国際会議場で交渉会議が開催されました。交渉開始の前日23日にはホテルニューオータニ幕張でテクニカルブリーフィングと呼ばれる各国・各地域の水銀排出対策の技術紹介があったり、同じ日のお昼にはNGOによるサイドイベントがありました。
交渉会議には約130の国から、各国代表、国際機関、NGOなどから約600人の人々が参加しました。
23日のNGOサイドイベントと、初日に開催された開会セレモニー、それから初日の交渉会議の中での各国のステートメント(声明)の中で、水俣病被害者の発言があり、世界中に衝撃を与えました。
交渉会議の中で議論された内容は、例えば、水銀の供給・需要・排出の削減方法や、環境上適正な保管の方法、国際貿易の中での取り締まり方、金鉱石の製錬に水銀を使った人力小規模金採掘(ASGM)、製品に含まれる水銀の削減と代替方法、それらのための資金と技術の支援など多岐にわたりました。
各国の姿勢としては、アメリカが2013年、ヨーロッパ連合が2011年3月に水銀の輸出入について規制をかけることもあり、先進国は法的拘束力のある条約の締結を主張。途上国では水銀による被害が多く規制することには賛成だが、水銀で家計を支えている人々が多いため技術と資金の支援が必要としています。一方で中国やインドなどの新興国では、水銀に規制がかかると火力発電に影響するため、法的拘束力のない各国の自主的な規制を主張しています。
また日本は2013年に制定される水銀条約の名前を「水俣条約」にしたいと主張しました。しかし、その日本の主張には賛否両論あります。
ある人は「条約に有名な水俣水銀中毒事件の被害者らを思い起こさせる名前を付けることにより、日本およびその他の国々は、将来の世代が水銀汚染に曝露することを防止し、最小とすることにより、本当に被害者らを敬うことができる十分に強い条約にするという期待が持てる」と主張しています。
一方である人は、「日本は現在行っている水銀輸出をやめ、水俣の全ての被害者を救済し、水俣問題の責任を全うするまで、水俣条約を提案する資格はないのではないか?」と主張しています。
最終回の次回は、今回のINC2に参加した中で私が感じたことを書きます。