【調査報告書】2月25日~27日 気候非常事態宣言都市 壱岐市現地調査

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目的

現在、世界中で気候変動問題に対しての関心が高まっています。9月にはFridays For Future Tokyoが東京都へ気候非常事態宣言を求める請願書を提出し、11月29日の審議では、長時間におよぶ審議の結果、不採択とはならずに「継続審査」となりました。この結果の背景には様々な事情が想像できますが、その1つには同宣言をすることの意味や、宣言後の具体的な施策などの提案の欠如があったことが伝えられています。そこで、日本で初めて気候非常事態宣言を行なった壱岐市にて現地調査を実施し、同市での取り組みや施策などを見聞し、東京都に対してもより踏み込んだ提案ができる様にすることが今回のツアーの目的です。

 

市長のお話

日本の自治体の中で、一番最初に気候非常事態宣言(以下:CED)をされた壱岐市長の白川博一氏にお話を伺ってきました。

環境経営学会の後藤さんに勧められたことがCEDをしたきっかけだったそうです。そもそも何も取り組んでいないのであれば、単なるパフォーマンスにしかなりませんが、壱岐市は、以前からバイオマスの活用を計画したり、水素発電の調査設計に取り掛かったりするなど、既に取り組んでいることがあった為、宣言に向けて、大きな抵抗はなかったそうです。また地球温暖化によって藻場が減少し、漁獲量の減少により、生計が立てられなくなっており、温暖化への危機感は、市民レベルで感じられており、宣言に至る過程で、市民や企業からの反対もなく、議会も全会一致で、可決されたそうです。単に、市長として宣言するよりも、しっかりと市の意思として、宣言をしたかった為、議会を通したと仰っていました。またCEDの議会での可決の直前に、グレタ・トゥーンベリ氏の発言があったことで、さらに促進させられたそうです。

 

CED後は、多くの自治体から問い合わせがあるそうです。ただ、CED後の他の自治体の反応については、まだまだ少ないと感じており、基本的に全ての自治体、少なくとも、SDGs未来都市に選ばれた都市は、宣言すべきであろうと仰っていました。それは、SDGs未来都市の17の共通目標の13番目に「気候変動に具体的な対策を」という項目があるからとのことでした。

また、私たちには、壱岐市の様な既にCEDをした自治体ではなく、むしろ、まだCEDをしていない自治体に対して、働きかけをして欲しいと激励されました。その際に、FFFTの活動にも関わっているメンバーが、東京都議会に請願書を提出した話をし、盛り上がりました。

また、壱岐市という小さな自治体が宣言しても、大きな効果は起こせないと謙遜をされておりましたが、実際に、東京都議会に請願書を出したにも関わらず、宣言が行われていない現状で、まず初めに、壱岐市がスタートさせた、「0」を「1」にさせたという部分は、非常に大きな意味があるのではと発言させていただきました。

30分という短い時間ではありましたが、市長の想いを聞くことができ、また壱岐市のCEDに至る背景を知ることができました。それらを今後の活動に活かしていこうと思います。

(執筆:あかつき)

九州電力・風力発電・壱岐ソーラーパーク

また、私たちは、CEDがどの程度発電や電力供給に影響しているのかお話を聞きに、九州電力の新壱岐発電所、株式会社なかはらが主に経営する風力発電所・壱岐ソーラーパーク(太陽光発電所)へ伺いました。

〈九州電力〉

壱岐市は本土と系統連携をしていない為、壱岐は島内の電力の需要と供給を独自に行う必要があります。重油を燃料にした内燃力発電によって、島内の需要の9割を賄っているということでした。発電機は、訪問させていただいた新壱岐発電所(24,000kW)に加え芦辺発電所(15,000kW)の2箇所に計8基あるとのことでした。すでに古い発電機だと50年以上稼働しているものもあり、長きに渡って壱岐の電力需要を支え続けてきた歴史を感じることができました。実際に担当者の話でも、日々電力を安定供給できているということの自負を語っていました。一方で、壱岐市では気候非常事態宣言が行なわれている為、「再エネとの共存」についてもお話いただけました。上記の様に安定供給という観点からすると太陽光発電や風力発電は非常に不安定な発電方法となり、その不安定性をカバーするのも九州電力の業務の様でした。電力を供給するには、電圧と周波数を一定に保つことが必要であり、現在の技術では再エネだけでそれを実現することが難しいとのお話でした。壱岐市では、既に太陽光発電と風力発電が行なわれていますが、系統連系ができていない為に両発電所は限られた量の発電しかできない状況にあります。実際に両発電所を運営されている株式会社なかはらの丸米さんは、そういった状況下で更なる設備投資をした上での発電ができない悔しさを話してくださいました。

<風力発電>

落雷により2019年11月より停止中となっている壱岐芦辺風力発電所は、発電能力が約2,000kW(年間発電量400万kwh)あり、一般家庭の年間使用電力に換算すると、約1,000世帯分を賄える計算になります。壱岐においては風力発電のポテンシャルが高い様で、可能であればさらに風車を建てることでさらに気候変動対策に貢献できるとのお話でした。説明によると、化石燃料での発電と比べると、年間約1,350tのCO2の削減になるとされ、10万本の杉の木を植林することと同程度の効果があるとのことでした。しかし、新型コロナウィルスの影響で、修理の部品が届かず、再稼働の目処が立っていないことが非常に残念でした。

<壱岐ソーラーパーク>

風力に続いて、太陽光発電の現場も訪問してきました。その名の通り、広大な平地に一面に太陽光パネルが敷かれ、約2,000kw(年間発電量約200万kwh)の発電能力を有する壱岐ソーラーパークは、もともと採石場だった土地を再利用する形で開発されたとのことでした。メガソーラーの開発に伴って、表明されることのある景観の破壊や矛盾した自然破壊などの懸念はここでは考えられないようです。また、太陽光パネルの並ぶエリアの少し奥では、壱岐牛の飼育もなされており、地場産業での取り組みの一面を見ることもでき、非常に参考になりました。

(執筆:パラ)

トラフグ養殖場

また、壱岐での地球温暖化の影響による藻場の減少や、それに関連した問題への打開策として期待できるのではないかという点から、株式会社なかはらの陸上トラフグ養殖場へ伺いました。

ここでは2019年度からその施設でトラフグとヒラメの養殖をし、販売を開始しています。この養殖場施設は特にトラフグの水槽における水を低塩分(生理食塩水と同等の塩分0.9%程度)で行っていることから国内外でも注目されています。この低塩分陸上養殖法により、トラフグの成長率も上がり、売り上げも好調で先進的な技術の取り入れにより海外からの研究者からの関心を受け、訪問の予定もある様です。そして、この陸上養殖施設で使用した水は一部を排水し、残りは微生物分解ろ過施設にて浄化し、また飼育水槽に戻しているとのことでした。トラフグの飼料も飼育水槽では生餌を使用すると食後に酸欠状態になりやすいため、ペレットを使用しているそうです。

壱岐の藻場は近年消失していて、政治的問題にもなっており、次回の市長選でも藻場の再生をどの様に図るかは注目されている様です。藻場の消失は藻場に惹かれる小魚、小魚に惹かれる大きな魚の消失を意味しており、壱岐市における漁業や地域の事業に大きな影響を与えています。それに加えて、日本各地と同様に壱岐市は高齢化と人手不足に困っているそうです。壱岐での高齢化が進む中、漁業の衰退が懸念されているが養殖は労働環境が違うことから、天然漁業よりは持続可能な産業だと言えるのではないかと感じました。陸上養殖は、気候被害が出難い為、気候変動への適応策として、また、高齢化や人手不足への対応策としても可能性を秘めていることから、これからも目を見張っておくべきであると感じました。

以上のことより、こういった養殖業は地方創生という観点でも壱岐の新たな産業として期待できるものなのではないかと感じました。

(執筆:きょうこ)

チーム防人

チーム防人は、壱岐市の島おこし応援隊として、主に島内観光ガイドや海岸漂着物清掃活動を行う、特定非営利活動法人です。代表者の中山忠治さんが平成20年に設立後、現在のメンバーは高校生10名含め、45名だそうです。中山さんが過去に、阿蘇野焼きボランティアに参加した経験から考案された「ボランツーリズム」は、海洋環境保全のボランティア活動と観光を組み合わせたもので、これまでに2千人が参加したとのことでした。壱岐に住む人でも、壱岐のことを知らない現状に直面し、8回企画した「おもてなしバスツアー」では、1500人が参加したと仰っていました。

他にも、島外中学生を対象に環境教育と体験旅行を行う「ビーチコーミング」や、ごみでアート作品を創る「漂着物アート」など、資源として、教材として、大いに海洋ゴミが活用されている様でした。

中山さん自身が、ボランティアへの情熱を呼び起こしたのは、東日本大震災の被災地支援に参加したことが大きいそうです。

壱岐市では、海流と地形の関係で島の西側にごみが集まります。また、漂着ごみの影響による磯焼け、白化から、ウニの餌である海藻が大量漂着しているそうです。根が腐ることにより再生は見込まれず、経済的損失は計り知れないとのことでした。チーム防人では、こうした国境のない漂着ごみに対し、韓国や中国の学生と共に交流事業として清掃活動を活発に行っていますが、どんなに創意工夫して清掃活動を実施しても、1週間が経過すれば、すぐにごみが見つかるという現状は変わらない様でした。こうしたイタチごっこを前にしても、中山さんは「拾う人は捨てない」という理念を大切にされていました。わざわざ足を伸ばして汗を流してゴミを拾った人は決して捨てない。そして、活動を続けるうちに、自分達の島を好きになり、島の良さを自慢して回る。自らそうした行動を起こしていくことで、周りの人を巻き込んで輪を広げていって欲しいと願っていました。

(執筆:ぴぃ助)

 

■壱岐テレワークセンター

テレワークスタジオを地方創生の観点から考えていくにあたって、まず重要になってくると感じたことは、テレワークスタジオが壱岐に出来た経緯でした。

2015年10月、壱岐市は富士ゼロックスと「壱岐なみらい創りプロジェクト」連携協定を結んだそうです。この壱岐なみらい創りプロジェクトでは、観光客誘致、人口増に繋がる新しい産業育成、住みやすいまちづくりを柱としていて、壱岐市の住民達が自らの意見を出し合いながら、壱岐の未来を創造していきます。それらを実現化させるために支援するのが壱岐市役所、富士ゼロックスだそうです。このプロジェクトの中で実際に行われているのが、住民同士での対話会で、この場には高校生が多く参加するそうですが、ここで出たアイデアが今後の事業のベースとなっていくと仰っていました。それらアイデアの中から実現したものの中の1つが今回のテレワークスタジオなのだそうです。ここで、壱岐が地方創生を進めるにあたり、若者を必要な要素として考えているのではないかと考えることができました。若者の新しい意見を積極的に取り入れ、それを最終的に実現化することで、現状維持ではなく壱岐がより新しく良い方向へ変化していくのだと感じます。

次にテレワークスタジオについてですが、福岡から船で1時間ほどの場所にあり、壱岐の自然豊かな環境の中で働くことができる点をアピールポイントとしている様です。ネットワーク、プリンター、FAXなどの設備もしっかり整えており、短期滞在者向けのシェアハウスも設けているとのことでした。利用者の中には家族と一緒に移住する者もおり、この時に子供が利用できるのが離島留学のシステムだそうです。これは途中からでも学校に入れるシステムで、1年で20名ほど利用する年もあると仰っていました。また、このテレワークスタジオをどの様にして知ってもらうのかという点についてですが、Facebookだけでなく、銀行やゼロックスと繋がりのある企業を通して島外の人々に対し情報を発信しているとのお話でした。今後の展望としては、現在日本が労働に関して抱える問題への解決策として新たな働き方を提示・アピールしていくこと、課題解決型学習やインターンシップ受入施設として活用していくことなどを挙げていました。

このテレワークスタジオは、若者が島を振興させることに直接的に関わることのできた事例であると考えられます。またこのことは、壱岐以外の、地方衰退という課題を抱える地域にとっても、1つの解決策として前向きに取り入れていくことができるのではないかと感じました。

(執筆:シノ)

★壱岐テレワークセンターについて

http://iki-freewillstudio.jp/

壱岐市博物館

壱岐市は、かつて一支国(いきこく)と言われており「魏志倭人伝」にも登場しています。当時は文字を修正する技術はなく、書き間違えたものはそのままにしていたとされていた様で、一大国という表記の書き間違えで一支国とされたといわれています。また、弥生時代における壱岐国は、隣国つまり朝鮮や韓国との交易に行われた地域の1つで、邪馬台国の支配国の1つでもありました。

壱岐国の遺跡の1つとして原の辻遺跡は、海に近い遺跡とされていて、朝鮮や韓国から訪問してきた渡来人が邪馬台国の道中に寄り、貿易を行ったとされている港だったそうです。原の辻遺跡では、漁業が盛んに行われており、そこで獲れた魚などや壱岐国の名産品が交易品として出されたと言われています。

 

当時は、素潜り漁や捕鯨などが盛んに行われていたとのことで、現代の壱岐市の漁業はこれがルーツでもあると言えるのではないかと感じました。この貿易港は、渡来人や倭人達の交流の場としても盛んな都市とされていたそうです。

壱岐市には、国指定特別史跡である原の辻遺跡や、壱岐古墳群が含まれています。それ以外に480か所以上の大小様々な遺跡もあり、その数は長崎県全体の13%を占めているとお話ししてくださいました。また、原の辻遺跡からは、国重要文化財に指定されている土器や道具がいくつも出土しています。その中の出土品に、日本唯一の「人面石」というものがあり、これはノルウェーの画家ムンクの『叫び』に似ていることで有名であるそうです。この人面石は、弥生時代において儀式などに使われていた祭具であったと言われているとのことでした。

壱岐国と韓国・朝鮮の交易の場である原の辻遺跡は、貴重な国際交流の場として繁栄した都市であると感じました。また、このことは現在の壱岐市の豊かさや漁業に引き継がれている様に思います。しかし、先人たちが残したものが現代人によって引き起こされた地球温暖化・気候変動問題の影響で壊されようとしています。それらを私達は守り抜いていく必要があるのではないかと感じました。

(執筆:ロッキー)

★一支国博物館についてはこちらをご覧ください!

http://www.iki-haku.jp/

 

まとめ:壱岐市を参考にして、東京にも活かせること

【パワーシフト】

壱岐市はかつて一支国と呼ばれ周辺国との交易で栄えた国際的な島でした。その名は

『魏志倭人伝』にも登場し、その歴史の深さを思い知らされました。その為、島中に古墳や神社仏閣が多数あり、(今回のツアーでは回れませんでしたが)ゆうに100以上もあるそうです。

そういった文化的資源を豊富に有する壱岐市は、2019年9月には気候非常事態宣言(CED)を行ない、現代においても国際的な動きへの柔軟な反応を示しています。CEDは日本国内では既に15以上の自治体が行なっていますが、世界的には既に1,400以上の自治体で行なわれているものです。台風19号による多大な被害、フランス等における40度越えの猛暑、オーストラリアの森林火災など気候変動問題は今や国や地域を問わず、どこに居ても考えざるを得ない課題となっています。

CEDはその課題への取り組みを自治体レベルで積極的に行なっていくことの表明であり、地域住民は実際の取り組みと宣言に至った政治的な態度を比較することで、地域における気候変動対策の「本気度」を計ることができる様になります。

エネルギー政策はかつて国策として、地域独占による安定共有を実現していました。

しかし、正にそのエネルギーの生産により温暖化は進んでいることが指摘され、再生可能エネルギーを基本とした持続可能なエネルギー政策の実現が求められるようになりました。世界的に見れば、既に太陽光や風力による発電が発電総量の40%以上を賄うことも可能となっており(イギリスやドイツなど)、国内では未だに動きの見えないエネルギー政策の転換は確実に起こっています。

壱岐市はCEDをする以前から太陽光発電と風力発電にも取り組んでおり、現在では島内電力量の約1割を賄っているそうです。現地での話では、実際にはもっと発電量を増やすこともできるそうですが、実現していないとのことでした。理由は、九州本土との系統連携がなされていないことにあるそうです。系統連携ができていれば、太陽光発電と風力発電の余剰電力は本土へ売電することができる様になり、壱岐市の再生可能エネルギーの潜在力を発揮するチャンスになることでしょう。

国内においても、再生可能エネルギーの普及率はいまだ16%とされており、2030年までの目標比率も22〜24%と非常に消極的なものとなっています。政府の方針や壱岐市のような自治体での課題を同列に語ることは難しいかもしれないですが、とは言え、1つ言えることは、再生可能エネルギーをみなで普及させていくことが、遠回りのように見えても唯一の道なのではないかということです。

A SEED JAPANも運営団体として参加しているパワーシフトキャンペーン(http://power-shift.org/)は正に再生可能エネルギーの普及を目的とした運動です。市民によるパワーシフト(契約している電力会社を再生可能エネルギーに特化した電力会社への切り替え)は2016年の電力小売り自由化以来急速に進んでいますが、まだまだ気候変動対策に貢献できるほどの勢いがあるとは言えません。今回、調査地として壱岐市を選んだのは上記の通りCEDを日本で最初にした自治体に行き、現地での取り組みを見聞きし、東京でも何か実践したり、取り入れたりできるものがある筈だと考えたからでした。実際のところ、エネルギーはこれからますます地産地消するものとして発展を遂げることが壱岐市でも実感しました。東京はエネルギーの観点では消費地であり、一方では巨大な都市としての発信力を持つ場所ともいえます。

2019年9月から11月にかけてFridays For Future Tokyoは東京都に対してCEDを求めてきました。結果として、都知事からは「気候危機行動宣言」がなされたことは周知の通りです。政治的な駆け引きやバランスの中で、Fridays For Future Tokyoの要求は、想定とは違う形ではありましたが、果たされたと言えるかもしれません。そして、宣言は宣言として、東京という大消費地で地球の未来を考えて、パワーシフトをする人が一人でも増えることを切望します。

世界的に見れば、再生可能エネルギーは石油、天然ガス、石炭のような化石燃料産業の斜陽化に反比例する形で隆盛を極めようとしています。これまでは大規模開発や中央集権的なエネルギー政策しか存在しなかったのが、これからは自分たち一人ひとりがエネルギーを選択し、地球の為になる行動をすることが可能になります。読者の皆様も今直ぐにご自身の電力がどういった方法で作られているか調べてください。もし、それが地球を苦しめる様な方法によるものだとしたら、ぜひパワーシフトを検討してください。必ず自分達の未来、そして、その次の世代の未来の為になる行動ができる筈です。

(執筆:パラ)

 

【地域創生】

【テレワーク】

壱岐のテレワークスタジオでは、日本の労働制度と働き方が抱える問題として以下の様なことが紹介されていました。(現地調査でのお話の際にいただいた資料から引用)

①      長時間労働:残業時間、有給消化取得率も10年間変化なし

②      通勤時間のストレス:理想は38分、現実は58分

③      家族と過ごす時間の減少:5年間で50分減少

Ⅰ)これらの問題を抱える都心の人々を、壱岐のテレワークスタジオへ!

▶いつもとは違う場所へ、気分転換の意味も込めて。「ワーケーション」の実行

→これは、地方創生に東京が手を貸す形にもなる。

→地方(壱岐)にも東京の労働者にもメリットがある。

Ⅱ)テレワークを東京で行う!

▶東京に壱岐と同じようなリラックスしながら仕事に向き合える場を設け、そこで休暇を取りつつ、肩の力を抜いた状態で仕事に臨める。

▶自宅勤務の推奨

→問題①~③の解決につながる

Ⅲ 労働問題だけでなく、現在の状況(コロナウイルスの蔓延)に対して、有効な策としてテレワークを活用できる。

 

【陸上養殖】

「伊豆諸島では、ハマダイなど底魚の減少や、カツオなどの来遊魚の減少、磯やけなどによる藻類・貝類の減少の結果、キンメダイへの依存度が高まり、現在漁業生産金額の多くを占めるようになっています。また、小笠原諸島海域では、メカジキへの漁獲の偏重が顕著です。かつては豊かな漁場だった東京湾も埋め立てが進み、干潟浅場の現象に伴って漁獲量が減少し、特にエビ・カニ類、貝類の漁獲量が減っています。」(引用:東京の水産業を学ぶhttps://tokyogrown.jp/learning/fishery/

壱岐のトラフグ養殖における養殖方法は、世界で初とのことで、この方法は東京都でも新しい産業として、また、漁獲量の減少への解決策として、取り入れることができるのではないかと考えられます。しかも、東京湾の埋め立てが進んでいるという現状に対し、陸上養殖は新たな観点からの策と考えられます。

 

【ごみ拾い】

既に東京都では海ごみに対し、地元自治体、NPOなどが連携してごみの回収・処理、発生抑制対策(リーフレットの作成、学習用テキストの配布、啓発用動画等)、シンポジウムの開催が行われています。

(参考:https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/resource/general_waste/marine_litter.html

しかし、チーム防人代表者の中山さんが仰っていた「拾う人は捨てない」という理念は、東京都でも、日本でも世界でも通じるものであり、環境問題や海ごみに対し関心を持つ人々だけでなく、さらに多くの人がそういった理念のもと、行動できる様になることが大切なのではないかと感じました。

(執筆:シノ)

 

本調査は、地球環境基金の助成を受けて実施いたしました。

2020-03-26