【参加報告書】第1回生物多様性日中ユース交流ミーティング

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全体概要

 昨年度に開催されました第1回生物多様性日中ユース交流ミーティングは、生物多様性わかものネットワーク主催で行われた合宿です。この交流ミーティングは、2019年10月中国で行われるCOP15(生物多様性条約締約国会議)に向けて、日本と中国の両国ユースの現状の取り組みについて情報共有を行い、「生物多様性」に対する自身の印象や考えについて意見交換を行う場になります。ワークショップやエクスカーション、グループワークを通して、互いに交友を深めていきました。参加者は、学生や社会人といった年代も経験も違う人達が集まっていました。

将来的に生物多様性分野における日中ユースの協働を継続し、実施につなげていく為の交流ミーティングでもあります。

赤谷プロジェクト講演(日本自然保護協会)

今回の合宿では、生物多様性わかものネットワーク以外にも、日本自然保護協会(以下: NACS-J )の松井宏宇さんから NACS-J の活動や赤谷プロジェクトについてお話を聞いてきました。

赤谷プロジェクトとは、群馬県みなかみ町にある赤谷の森に生息しているイヌワシやカモシカ、クマタカ、ツキノワグマなどの絶滅の危機に瀕している動物を守り、赤谷の森を豊かにする為に、地域の方々や行政の方々と協力しながら、その森の恵みを地域に活かす活動を行っています。

赤谷プロジェクトの歴史は、1980年代の2つの大規模開発である、スキーリゾート計画と川古ダム計画が浮上したことから始まりました。計画地が村の上水道の取水地でもあることから、1990年代にこの大規模開発計画に対する住民による反対運動が開始されました。その後、NACS-Jに相談が持ち掛けられ、調査の結果、赤谷の森には国の天然記念物であるイヌワシが確認されました。

赤谷プロジェクトの取り組みは、荒廃し、増えすぎたスギやカラマツの人工林を、多様な動植物がいる自然の森へと戻す活動です。さらに、老朽化した治山ダムの中央部を壊し、自然な川の流れを復元して、そこに生息する水生生物のモニタリング調査を実施し続けています。

また、シカの問題にも取り組んでいます。地球温暖化などの環境問題の影響で起きているシカの増加問題は、生態系に悪影響を及ぼしています。シカの増加によって起こる問題としては、本来、増加する動植物がシカが増えたことにより、激減するといった生態系への影響があります。さらに、人間社会にも与える影響としては、交通事故の多発、人々へのシカに寄生しているダニやヒルによって起きる健康被害、農作物への被害などがあります。対策としては、森に生息するシカをモニタリングし、捕獲をしつつ頭数制限を行うなどがあります。

以上の様に、赤谷プロジェクトでは、自然保護や地域づくりを地域住民やサポーターと共に活動を行っています。

 

自然之友(中国の民間団体)

今回の交流会で中国の環境団体の方からもお話をいただきました。自然之友は、中国で最初に成立した環境民間団体です。会員数は、全国で3万人以上います。主な活動内容としては、公衆運動や環境教育、法律と政策への主張を行っています。目標は、より多くの緑公民(緑に関心ある市民のこと)を発見し、養成することと、より多くの環境保護運動を行うことです。

取り組みの一つである能力養成では、毎年1~2回の頻度で、生物多様性ワークショップを開催し、ユースの為に大学で専門的な生物多様性の講座を開始できる人材を育成しています。

 

感想

生物多様性日中交流ミーティングに参加して、日本と中国の環境問題の事情、そして、日本自然保護協会が行っている赤谷プロジェクトについて知り、現在起きている生物多様性問題について理解を深めることができました。自然之友は、日本にはない活動を行い、日本とは違う側面から、環境問題や生物多様性問題に取り組んでいることに興味を抱きました。現在、気候変動問題や生物多様性問題といった環境問題が起きています。そして、それらの問題を解決する為には、国境を越え多くの人と協力しなければ解決することは困難なのだと感じました。

 

ライター:ロッキー

2020-04-27