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企業は本業を通じて、生物多様性保全や持続可能な利用に貢献しているの か?

プレスリリース

関係者各位

2009年10月27日(火)
企業は本業を通じて、生物多様性保全や持続可能な利用に貢献しているのか? ガイドラインだけでは不十分!生物多様性条約会議(COP10)で名古屋議定書締結を!

〜「生物多様性条約に関わる遺伝資源の利用の現状に関する公開質問状」から見えてきた議定書の必要性〜

国際青年環境NGO A SEED JAPANは、企業が本業を通じて生物多様性を保全し持続可能な利用に貢献してことが必要であると考えます。2010年10月に名古屋で開催予定の生物多様性条約第10回締約国会議(以下COP10)では 「遺伝資源へのアクセスと利益配分 (ABS)」 が重要議題とされている中、遺伝資源を利用している日本の企業は、本業を通じて生物多様性の保全や持続可能な利用に貢献しているのでしょうか。

企業の取り組みの実態を明らかにするために、私たちは2009年8月に医薬品業界・化粧品業界・食品業界の企業計177社に「生物多様性条約に関わる遺伝資源の利用の現状に関する公開質問状」を送付し、生物多様性条約にて規定されている「事前の情報に基づく同意(PIC)」の取得の有無と、「相互に合意する契約条件(MAT)」に沿った利益配分を行っているか、調査を実施しました。

調査の結果、まず166社が無回答、11社が回答しました。11社中4社が国外遺伝資源を利用していると回答する中、4社中1社がPICを取得・4社中2社がMATを策定していることが判明しました。現状では、大多数の企業の利用状況は不透明であり、フェアな遺伝資源の利用に対する認識や取組み姿勢が不十分と言えます。生物多様性条約第9回締約国会議にて日本政府は、遺伝資源の利用はボン・ガイドライン(※1)をはじめとした遺伝資源利用者(企業)の自主性に任せた取組みで問題はない、との立場をとり多くの国々から批判を浴びたという経緯があります。私たちは、企業が本業で生物多様性保全や持続可能な利用に貢献しうる企業活動を実施するためには、ガイドラインのみでは不十分であり、より強い国際規格が必要であると考えます。よって、COP10で、法的拘束力のあるABSの国際規格が締約されることを求めます。

今回の公開質問状の結果について、以下に結果とその見解を示します。

○4社中1社がPICを「必ず取得している」:国外の遺伝資源を調達する際の事前の情報に基づく同意(PIC)の取得状況
遺伝資源を自社で直接調達している時のPICの取得について、4社中1社から「必ず取得している」という回答を得ました。 サプライヤーを通じて間接的に調達している時のPICの取得についても、4社中1社から「必ず確認している」という回答を得ました。しかし、その他3社は、PICを「取得していない」または「確認していない」という回答でした。
○4社中2社が契約をMATで交わしている:相互に合意する条件(MAT)の策定状況
契約をMATで交わしているかという質問に、4社中2社から「はい」、他の2社から「いいえ」という回答を得ました。また4社中2社が、利益配分の詳細を公開しました。
○166社が無回答:回答状況と結果についての見解
質問状を送付した177社のうち、回答があったのは11社です。ご回答いただいた11社は、来るCOP10にむけて遺伝資源へのアクセスと利益配分 (ABS)が重要議題として挙げられている中、情報を公開しステークホルダーとの 対話の重要性を認識していると評価しています。しかし、他の166社からご回答いただけなかったということについて大変遺憾なことと捉えています。つまり、現状では大多数の企業の利用状況は不透明であり、フェアな遺伝資源の利用に対する認識や取組み姿勢が不十分であると言えます。

「事前の情報に基づく同意(PIC)」と「相互に合意する契約条件(MAT)」について 生物多様性条約第15条では、資源提供国が遺伝資源のアクセスに対する権限を持っており(自国の天然資源に対しての主権的権利)、その上で締約国は、相互に合意する条件に基づき、遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ衡平な配分することとしています。
PICは、資源提供国が主権的権利(資源の利用者に対して、利用の許可を与えるか否かを決定できるという権利)を行使するために必要なものです。また、MATは利害関係者の間で公正かつ衡平な利益配分が行われることを促します。私たちは、全ての企業がPICを取得し、MATを策定する必要があると考えます。

この件についてのお問い合わせ:
国際青年環境NGO A SEED JAPAN (担当:小林、三本)TEL:03-5366-7484

※1:遺伝資源へのアクセスと利益配分の実施方法を具体的に書いた2002年生物多様性条約第6回締約国会議(COP6)で採択された法的拘束力のないガイドライン
公開質問状に関する各企業の詳細を知りたい方は、こちらをご覧ください。

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